前章でお話しした回復の4ステップは、自分の人生を過去から現在へと時間軸で見ていく作業です。

これは、布にたとえると縦糸のようなもの。

一方、この章で行うのは、「今、ここ」に焦点を当てた作業。

いわば横糸を毎日織り込んでいくような作業です。

ご存知の方もいるでしょうが、布を織るときはまず縦糸をかけ、そこに一本一本横糸を織り込んでいきます。

インナーアダルトをつくる5つの力は、日々実践することで身につけていくものです。

この力が育つことで、しっかりと自分の面倒をみることができ、自分を幸せにする責任を自分で負えるようになります。

それこそが本当の意味で「おとなになる」ということ。

世間で言うような「一人前の社会的責任を負う」こととは別の、自分で人生を選択する力なのです。

核となる5つの力

1.自分を認める力

2.コントロールをある程度手放す力

3.感情を感じる力

4.ニーズを見分ける力

5.限界と境界を設定する力

まず最初は、自分を確認し、ありのまま認めるところから始めるのがいいでしょう。

それができると、コントロールを少しずつ手放す練習がより安全なものになるはずです。

コントロールを手放すと、強烈な感情をどう扱ったらよいかという課題にすぐさまつきあたるでしょう。

感情の正体をつかんでそれを表現するようになれば、自分のニーズに気付きます。

ニーズを満たすためには、限界と境界を設定しなければなりません。

こうやって取り込むことで、自分というものの感覚―自分は本当はどんな人間なのかということ―が育っていくのです。

自分の核となる強さを育てていっても、たとえばまだコントロールを手放すのが怖いと感じる場面はあるでしょう。

困難な課題につきあたったときには、どうぞ自分の感情を受け止めてください。

泣きたくなったときは、泣いたからといっておかしくなるわけではないということを思い出してください。

怒りがわいてきたとき、自分を破壊しようとする必要はありません。

自分が何を必要としているのか、見分けられるようになってください。

人は時として、すべての問題を一気に片付けなければという気になるものですが、それはまるで「感情の手術」や「考え方の手術」を医者の手もなく準備もなしにおこなおうとするようなものです。

こんなことをすれば、あまりの不安でこれ以上痛みの中を歩いていく努力をやめたくなります。

自分の感情が怖くなり、もうリスクがおかせなくなるのです。

一度にひとつずつ辛抱強く、安全にアダルトチルドレンの回復プロセスを進めて下さい。

5つの力は、それぞれ別々のままでは十分な強さを発揮しません。

境界があって初めて自分のニーズをきちんと満たすことができるし、ニーズが満たされることでさらに自分の価値を確認できるというように、5つの力が組み合わさることでたくさんのことが可能になり、より自分らしく生きられるようになるのです。

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳