あなたは、誰を自分の人生に招き入れ、どのようにつきあうかの選択肢を手にしています。

理解しておくべきなのは、人間関係にはさまざまなレベルと目的があるということです。

単に具体的なサービスを提供するため私達の生活に関わる人もいるし、私達もそのような形でのみ他人の生活に関わることもあります。

たとえばバスの運転手の役割は、安全に目的地まで連れて行ってくれることです。

美容師の役割は、満足のいく髪型に仕上げてくれることです。

また仕事の同僚とは、共通の目的に向けて協力できさえすればよいのです。

こうした関係は、私達が友人やパートナーとの間に育てる親密さとは別のレベルのものです。

運転手や美容師や職場の人に思いやりをもつ必要はないというわけではありませんが、周囲の誰とでも親密になろうとする人というのは相手を困惑させるものです。

非現実的な期待によって相手を尻込みさせることが多くなり、相手が自分に応えてくれないことで気落ちし、結局は誰ともあまり親密な関係をつくれなくなってしまいます。

そして、自分にとって大切な相手と十分な時間を過ごさずに、表面的な関係の人と過ごしている時間ばかりが多いという結果になったりするのです。

おとなどうしの人間関係は、目的によって次のようにレベル分けすることができます。

日常レベル

礼儀をふまえて付き合い、顔をあわせれば挨拶する程度の関係。
あるいは、具体的なサービスを受けたり、またはサービスを提供するだけの関係。

協同レベル

職場の人や社会的な活動の仲間など、共通の目的にたずさわる関係。
ここでは人よりも目的を果たすことが優先であり、人は取り替えがきく。

友情レベル

支え合い、お互いに楽しむという目的でつながっている関係。
人が重要であって、何をするかは二の次。

恋愛レベル

快感への欲求・情熱を分かち合い、性的な存在としての自分を分かち合う恋人同士の関係。
それは単なる情熱や性を超えた関係で、友情を含むもの。
情熱と性的感情だけなら、日常レベルの関係でも体験することがある。

長期的なきずなレベル

長期的なきずなを保つことに合意したカップルの関係。どのような問題が起きようと、お互いの信頼・誠実・決意をもとに取り組むことを約束するもの。


現実が常にその通りいくとは限りませんが、段階をふみながら進展していくのがより健康な関係です。
関係が進んで恋愛やきずなの段階へ入っても、そのカップルの毎日にはかつてのレベルの関係がすべて含まれています。

日々の雑事という点から言えば、日常的レベルで礼儀を保ったり、ギブ&テイクで相手の便宜をはかることも含まれるのです。

こうしたレベルで接するときがあるからといって、相手から見捨てられているわけではないと理解することが大切です。

絆で結ばれた関係というのはさまざまなレベルを行き来できるものなのです。

見知らぬ人や、たまたま同じ場に居合わせた人との間で、親密さが自然と高まることもあります。

一緒に災害に巻き込まれたり、美しい光景を共に目にしたときなどです。

こうした瞬間はたちまち過ぎ去っていきますが、一生記憶に残るかもしれません。

それでも、私達がもっとも長続きする親密さを育てていくのは、親友や、パートナーや、家族との間でなのです。

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳