あなたはどんな秘密のもとで育ったでしょうか?

それは当時も知っていた秘密ですか、それとも、薄々気付いてはいたけれど、あとになってはっきりしたことですか?

秘密は、人に言いたくない病気や、法律的な問題、たとえば犯罪で逮捕されたり投獄されたりといったことの場合もあります。

また、不倫の関係や、未婚の妊娠、中絶、あるいは依存症や、身体的・情緒的虐待かもしれません。

あなた自身には、どんな秘密がありますか?

それはあなただけしか知らないことかもしれません。

たとえば、アダルトチルドレンを抱えたランデールは子ども時代に盗みをしたことがあり、今でも友人や家族からちょっとしたものを盗むことがあります。

彼の知る限り、誰もこのことに気付いていません。

アダルトチルドレンを抱えたジニーはかつてレイプされたことを誰にも話していません。

レイプを受けた女性の多くはそのことに口をつぐみ、秘密にともなうたくさんの感情を心に閉じ込めています。

アダルトチルドレンを抱えたドロレスは、予定外の妊娠をして結局は流産したことを夫にも話していません。

「私も母のような心の病気になったらどうしよう」といった密かな怖れを抱いている人もいます。

「この結婚生活は破綻に向かっているのではないか」「私は同性愛者かもしれない」といった思いを秘密にしている人もいます。

秘密を抱え、事実を隠しているという重荷を負っていれば、罪悪感は強くなり、知られてしまうことへの怖れはエスカレートしていきます。

怖れは苦痛を引き起こし、その痛みがあまりに強くなれば、私達は一時でもそこから逃れるために自己破壊的な行動へと向かうことになります。

性的に虐待されたことを秘密にして耐えている人達は、アルコールや錠剤やその他の薬物で痛みを和らげようとすることがよくあります。

「言えないこと」のために神経をすり減らさないですむよう、人との付き合いを避けて孤立しているひともたくさんいます。

アディクションからの回復途上にある人が、秘密を抱えている罪悪感や、秘密が知られてしまう不安から、再発にいたることは非常によくあります。

秘密にしていることがあると、私達の眺める世界は歪んだものになります。

いつも警戒態勢をとっていなければならず、自分でもこの「隠蔽された情報」を忘れていようとして、あれこれ理屈をつけ、事実をねじ曲げ、抑えこもうとします。

そのため、誰かと親密になる機会も奪われてしまいます。

たとえばフィリスの場合、新しいボーイフレンドを自分の家族に近づけたくありませんでした。

母親が安定剤に依存していることや、兄のコカイン乱用など、知られたくないことがあったからです。

アダルトチルドレンを抱えたマリーは性的虐待を受けて育ったことをパートナーに知らせず、彼との間や自分自身との間にバリアを築いていた為、そのことが障害となって二人の性関係はうまくいきませんでした。

私達が秘密の中で生きている限り、他人と何かを分かち合ったり人を信頼するということはできないでしょう。

五年、十年、ひょっとしたら三十年も、何かについて口をつぐんできたということは、今も話せないという事です。

私達は長年の間、心を閉ざし、防衛し、隠したてするよう自分を訓練してきたのです。

ですから今また、怖れや罪悪感や自己否定感を引き起こすようなことが起こったとしたら、それを誰かと分かち合うという選択をすることはまずないでしょう。

こうして過去の体験に縛られれば縛られるほど、自己否定感はつのり、それを不健康な行動で表わすことが多くなるのです。

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳