「私は子ども時代、どんな信念を心にきざんだのだろう?」
「そう信じることは、今の私を助けているだろうか、傷つけているだろうか?」
「今、私は、何を信じて生きたいのだろう?」

子ども時代に取り込んだ信念は、しばしば無意識のうちに私達の行動を左右し続けます。

こうしたメッセージは多くの場合、「〇〇すべき」「〇〇であるべき」という形で親の態度や価値観が内面に取り込まれたものです。

私たちはまず、自分の中にある信念を見つけ出し、それが肯定的なものか否定的なものか、自分のために役立っているか害になっているか、そして自分は今どんなふうに生きたいと願っているのかを、問いかけてみる必要があります。

そこで、このステップの最初にあたって「・・・について私はどんなことを信じているだろう?」と自分に聞き、その答えを再検討してみることにしましょう。

小さい頃にみにつけがちな信念で、私達にとって有害なものの例をあげます。

・誰も信じられない。

・私を気にかけてくれる人など誰もいない。

・私はどうでもいい存在だ。

・私には価値がない。

・私は物事を正しくやらなければいけない。
そうでないと何か悪いことが起こるから。

・私自身のニーズなどどうでもいい。
他のみんなのニーズを満たすほうがはるかに重要だ。

・遊んでいる時間はない。
やるべきことがたくさんあるのだから。

・私は他の人の面倒をみなくてはならない。

・どうせ私には何もできない。
だからわざわざ一生懸命になることはない。

・私が何をやっても、満足にできたためしがない。

●前のリストを見て、あなたの行動のもとになっている信念にチェックをつけてください。
他にも、過去の体験から形づくられた信念で、あなたにとって害になっているものがあればあげてください。

こうした有害な、心に根をおろした信念は、生きていく力を育てる障害となります。

たとえば、あなたが本当に自分のニーズなど重要ではないと信じ込んでいたら、「これが必要だ」と口に出す方法を身につけるのは難しいでしょう。

もしも自分には何もできないと思いこんでいたり、何かを満足にやれたためしがないと思い込んでいたら、新しいことを始めたり試してみる気にはなれないでしょう。

もしも他人の世話をすることが自分の仕事なんだと信じていたら、あなたは自分の面倒をろくにみていないに違いありません。

そのメッセージを、これからも信じていたいかどうかを決める―自分で選ぶ―ことが重要になってくるのです。

自分にとって有害なメッセージを見つけたら、それを手放す象徴的な儀式が必要です。

多くの人は人生を変えようとしながらも、この段階を飛ばしてしまいます。

彼らは過去を探り、過去と現在とをつなげ、そして何か新しいスキルを学ぼうとするのですが、自分の心の中にあるメッセージには積極的に目を向けようとしません。

ときどきはそれが視野に入って、存在することに気づくのですが、ちゃんと取り除こうとはしないのです。

古い信念を拭い去るための象徴的な方法は、いろいろあります。

●メッセージを書き出し、その紙を破りましょう。

あるいは、メッセージを書いた紙を椅子に置いてその上に座り、「ノー」と宣言します。

信念を何かの光景として想像し、その偽りの世界が粉々に崩れる様子を思い浮かべます。

もしあなたがコンピューターゲームをするのなら、メッセージが書かれた看板がゲーム中にあるのを想像して、それをドカンと吹き飛ばします。

メッセージを手放すプロセスを具体的な行動にすることが重要です。

目的はまじめですが、その方法は、楽しめるものであっていいのです。

古い信念を手放す儀式が終わったら、それを健康なメッセージに置き換えます。

かつて疑いもせずに信じ込んだものを、自分で選んだ健康な信念に置き換える例をあげましょう。

他人は皆信じられない。「イエス」と言わないと弱いと思われる。遊んでいる時間はない。間違うのは、私ができそこないだから。 古い、間違った信念
信頼に値する人はたくさんいる。「ノー」と言っても強い人間でいられる。遊ぶ時間は大切だ。間違うのは、私が人間だから。 新しく置き換えた信念

おそらくあなたは、自分のためになるメッセージも家族から受け取っているでしょう。

どんな肯定的なメッセージがあるか確かめることも大切です。

あなたはかけがえのない大切な子だと父親が言うのを聞いたかもしれません。

「自分がしてほしいことを他人にもせよ」と教えられたかもしれません。

こうしたメッセージなら、心の中に持ち続けたいと思うのではないでしょうか。

もしそうなら、それを自分のものとして選びとることが必要です。

大切なのはあなたが何を信じるかであって、あなたの父親(あるいは母親)の考え方ではないのです。

声に出してはっきりとこう言いましょう。「父親が私に言い聞かせた〇〇のことは、今までとても私の役に立ってきた。

だから私は自分でそれを信じることにする」。

これで、そのメッセージ、その信念は、あなた自身のものになったのです。

いわばバトンは親からあなたへと手渡され、今はあなたが自分の責任でそのメッセージを運んでいるのです。

逆に、あなたが取り込んだ「親の考え方」「こうすべきという決まり」が自分の望む生き方を邪魔しているとわかったら、放り出していいのです。

このステップは頭で考える作業で始まりますが、受け止めるべき感情がわきあがってくることも知っておいてください。

「自分のことなんて後回しにすべき」と信じて生きてきたと気づいたら、腹が立つでしょう。

「誰も私の言うことなど聞きたくないんだ」と信じ込むような体験をしてきたと気づけば、とても悲しくなります。

また、古いメッセージを健康なメッセージに置き換えるときには、変化にともなう感情の揺れを通り抜けなければなりません。

このステップに取り組むときには徹底的にやってください。

というのも、ここで多くの人が作業を飛ばしたり手を抜いたりするからです。

これは一見、たいした意味のない、取るに足らないことのように思えるかもしれません。

それほど強烈な感情を呼び起こすわけでもなく、ある種の人達がアダルトチルドレンの回復というものに求めるような刺激が少ないのですから。

もちろんあなたが取り組む課題によっては「激しく気持ちが揺さぶられる」ことにもなるでしょうが、それがこのステップの主な目的ではありません。

肝心なのは、自分の課題に取り組み、自分が今をどう生きるかに責任を負うことなのです。

あなたが本当の意味で新しい行動パターンを学ぶ準備ができるのは、ここまでの三つのステップに取り組んでこそなのです。

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳