「今私はどんなことについて、別のやり方をしたいのだろう?」

最終的に私達の生き方が変わるのは、子ども時代に学ばなかったスキルや行動のしかた―自分を大切にすること、他の人と健康な関係をつくることなど―を学んだときです。

「もっと人の話が聞けるようになりたい」「問題を上手に解決する方法を身につけたい」「他の選択肢を考えつくようになりたい」「上手な交渉のしかたを学びたい」。

これらは生きていくためのスキルであり、自分にも他人にも寄り添って生きる方法です。

多くの人は、その前の三つのステップを通らずに、ただ新しいスキルだけ学ぼうとしがちです。

人生を先に進めようとして急いでいることは理解できます。

子どもの頃からずっと、私たちは明日に望みをかけ、今このときを一刻も早くやり過ごしたくてたまりませんでした。

きっと明日は今日よりましに違いないと信じていたのです。

だから今でも、悲しみに目を向けたくはないし、過去と現在をつなげようとしてじっと考える時間は惜しいし、信念を再検討するという一見くだらないことに時間を使いたくないのです。

他にやることはいくらでもあるのですから。

けれど、アダルトチルドレンの回復を優先する気持ちになることが必要です。

アダルトチルドレンの回復を優先するとは、それぞれのステップをきちんと踏んでいくための時間をとるということです。

行動を変えることだけに焦点を当てたプログラムは、あなたを夢中にさせるかもしれません。

けれどたいていの人は、ステップを順序通り踏んでいかない限り新しいスキルを実行しようとしてもなかなかうまくいかない、ということに気付きます。

なぜなら、スキルにともなう感情の部分が置き去りになっているからです。

たとえば、限界を設定するのが上手になりたいとします。

自分だけに負担が集中するような目に遭いやすいので、もっと堂々と自分を主張できるようになりたいのです。

けれども、こんなことが起こります。

自己主張のためのアサーティブ・トレーニングを受けても、ついていくのが難しかったり、実際に行動に移そうとするとなかなかできないのです。

まだ取り組んでいない課題、つまり拒絶される怖れや相手に受け入れてもらわなくてはという思いが立ちはだかるためです。

スキルは、このような感情の課題と切り離せないのです。

あるいは、他の人に助けを求める方法を学びたいとします。

安全な相手を見つけることはできるでしょうが、子ども時代に助けを求めることがどんなに不安だったかということに目を向けない限り、新しいスキルを使いこなすことはできないでしょう。

頭や理屈では、望む結果を手にするために何をすればいいかわかっていても、奥にある感情が新しい行動を邪魔するのです。

かつての行動パターンの背後にあった感情の問題に取り組まないと、新しいスキルを手にしても行動がついていきません。

ですからまずは、最初の三つのステップで古い信念や怖れに向き合って、新しい行動やスキルを支えてくれるような新しい信念を創り出すのです。

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳