心に受けた傷や親からの支配が強ければ強いほど、それを味わった期間が長ければ長いほど、その影響を脱するには、根気のいる作業が必要になる。

人は、自分が受けた傷から回復しようとする本能的な欲求をもっている。

安心感が保証され、そのことを話しても、責められたりすることなく、ありのままに受け止めてもらえるとわかると、次第に体験を語るようになる。

ふと思い出したことを語っているうちに、関連したさまざまな記憶が、芋づる式によみがえってくる。

そうして再体験し、そのときの感情を表現し、それが受け止められ共感されることで、解毒が進んでいく。

このように、その人に深く根を張っている傷や呪縛を根気よく取り除く作業を行なっていくのである。

こうした作業を通常の診察で行なうことは、時間的にも困難である。

そこであるクリニックではクリニックでの診察と、提携しているカウンセリング・センターでのカウンセリングとを併用することで、その作業が行える仕組みになっている。

50分ないし90分のカウンセリングにより、十分に受け止められる体験ができるように配慮している。

週に一回のペースで、診察とカウンセリングを並行して受けてもらうと、重いものを抱えてパンパンになっていた人でも、かなりスッキリしてくることが多い。

マインドフルネスの手法を採り入れたカウンセリングを行なうことで、その効果が倍増するように感じている。

マインドフルネスを採り入れたカウンセリングは、ありのままに受け止められるという体験を、言葉だけでなく体でも味わうことができる。

母親の胸に抱かれるような体験でもあるようだ。

一方、診察では、状態をモニターしながら、治療の舵をとっていく。

本人の気持ちを受け止めるだけでなく、全体的な視点で診て、問題点も突きつけ、変化を促すこともある。

回避から脱するためには、傷が癒され、安心感を回復する必要があるとともに、もう一度、危険と不安に満ちた現実に飛び込んでいく勇気が必要である。

そこには、母親的な受容や癒やしとともに、勇気を鼓舞し、決断と行動を促す父親的な力が必要なのかもしれない。

※参考文献:回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち 岡田尊司著