回避型愛着スタイルとパーソナリティ

では、各パーソナリティのタイプごとに、回避型愛着スタイルを示す場合の特徴を整理してみよう。

1.回避性パーソナリティ・タイプ―嫌われるという不安が強い

回避性パーソナリティとは、傷つくことに敏感で、少しでも失敗したり、責任が生じたりする状況を避けようとする傾向を特徴とするタイプである。

回避型愛着スタイルを合併することが多いパーソナリティ・タイプの一つであるが、回避性パーソナリティには、不安型の愛着スタイルを示す人も少なくない。

回避性パーソナリティの適応戦略は、苦しい思いをしてリスクを冒すより、消極的に現状維持や危険の回避を優先するというものである。

その背景には、元来神経質で不安が強い遺伝的特性をもっていることに加え、親による過干渉かつ批判的な養育があることが多い。

いじめを受けたり、失敗して恥をかいたりした体験も、回避性の傾向を強めるきっかけとなる。

こうした体験によって対人関係にネガティブな期待しか抱かなくなった結果、親密な関係を避けるような反応をしてしまうのである。

回避型愛着スタイルが強い回避性パーソナリティの人は、人間関係に、より消極的で、クールで、われ関せずの傾向が目立つが、不安型の愛着スタイルを伴うケースでは、人の顔色に敏感で、人に認められたいという気持ちが強く、次に述べる、依存性の傾向を示すことも多い。

2.依存性パーソナリティ・タイプ―人の顔色に敏感で、ノーが言えない

依存性パーソナリティは、やたらと相手の顔色をうかがったり、相手に迎合する傾向を特徴とするタイプである。

一人では生きていけないと思い込みがちで、相手の機嫌をとることによって庇護を得ようとする生存戦略を特徴とする。

しかしその結果、自分にとって害のある人にまで迎合し、相手の不当な要求を拒否できないという問題が生じやすい。

依存性パーソナリティの人は、本来、不安型の愛着スタイルを示すことが多いが、子ども時代、親に支配されて育った場合や、親にネグレクトと支配の両方を受けて育った場合には、回避型愛着スタイルと同居することがある。

その場合、人と打ち解けることはできないものの、人の顔色や人からどう思われるかということには敏感で、気をつかいすぎて自己主張を抑えてしまうため、周囲の状況に流されやすくなる。

一方、不安型の愛着スタイルを抱えた依存性パーソナリティで起きやすいのは、「強迫的な世話」という問題である。

配偶者や子どもに尽くそうとするあまり、支配的なふるまいになり、それが相手の自立を邪魔する結果になりやすい。

ただ依存性パーソナリティでも、愛着スタイルが比較的安定している人の場合、旺盛なサービス精神や人に配慮できる能力を活かせば、家族の良き支え手となったり、また人気商売やサービス業などに就いて社会的にも成功しやすい。

3.強迫性パーソナリティ・タイプ―勤勉で、責任感の強すぎる努力家

子どものころ、親から義務を強要されるような養育を受けてきた場合、その期待に押しつぶされてしまうと回避性パーソナリティを示しやすい。

しかし親の期待に応えることに成功し、親の基準を自らの中に取り込んで、それに同一化した場合には、義務や責任を全うすることを最優先する人格が生み出されることになる。

それが、強迫性パーソナリティである。

強迫性パーソナリティの人は、秩序やルールを重んじ、義務や責任を果たすことを至上命題として、勤勉に努力しようとする。

それゆえワーカホリックになりやすく、自分のことを顧みることが少ないため、心身症やうつ病にもなりやすい。

また、強迫性パーソナリティの人で、回避型愛着スタイルがベースにある場合は、義務や責任を重視する傾向がさらに強まり、例外を許そうとしない過度な厳格さがみられやすい。

こうした特性は、家族といった、本来情愛で結びついた共同体においてはマイナスに作用する。

共感をベースに育まれるはずの愛着が無味乾燥化し、砂漠に育つサボテンのように、潤いやまろやかさに欠けたものとなりかねないのである。

同じ強迫性パーソナリティでも、愛着スタイルが安定型の人では、義務感や責任感の強さが周囲から評価され、社会的にも適応しやすい。

しかし、回避的な愛着スタイルが同居した場合には、人との間に親密な関係をうまく築けない。

礼儀正しさや形式的な恭しさはあるものの、情感を伴っていないため、関係を深めることができないのである。

愛着スタイルが不安型の場合には、他者に対して過度な迎合や献身をしがちなため、大きなストレスを抱えやすい。

4.自己愛性パーソナリティ・タイプ―自分しか愛せない唯我独尊の人

自己愛性パーソナリティは、自分を特別視し、周囲を見下すことで、自分を守ろうとするタイプである。

他者からの共感や対等な愛情を期待するよりも、賞賛と奉仕だけを求めようとする。

その傲慢で、尊大な態度とは裏腹に傷つくことに対しては敏感で、他者からの非難に対しては、激しい怒りで反応する。

自分の欠点やミスの指摘は、それが正当なものであっても受け入れようとせず、逆ギレするのである。

このタイプの生育環境で典型的なのは、過度な甘やかしと共感的な愛情の不足が同居している場合である。

母親には冷たいところがあり、自分が理想とする優れた存在としてしか、わが子を認めようとしない。

自己愛性パーソナリティの人でも、愛着スタイルが比較的安定していれば、自分への絶対的な自信や万能感を活かして大きな成功を成し遂げることもしばしばである。

逆に不安型愛着スタイルを抱えている場合には、尊大さの一方で、劣等感や見捨てられ不安が同居し、感情が不安定になりやすい。

逆境に弱く、いいときと悪いときの差が大きくなりがちである。

5.反社会性パーソナリティ・タイプ―冷酷に他人を搾取する

反社会性パーソナリティも、回避型愛着スタイルをもつことが多いタイプの一つで、共感性が乏しいという点では、自己愛性パーソナリティと共通する。

しかし、他者からの賞賛を求めようとはせず、むしろ非難されるようなことを平気で行えることに自己の存在感を見出している。

他者を冷酷に利用し、搾取し、攻撃することに歓びを感じるのである。

このタイプの人は、子ども時代、親から共感的な愛情を受ける代わりに、絶えず否定の言葉を投げつけられてきた。

そうした体験によって、他者に対する憎しみや怒りを心の中に抱えているのである。

他者への攻撃は、自分が受けてきた仕打ちに対する反抗であり、復讐であると言える。

そんなパーソナリティゆえ、当然人に持続的に愛着することは少なく、その場その場の関係に終始しがちである。

6.シゾイド・パーソナリティ・タイプ―人といることが楽しくない、孤独癖の人

他者と共感的で親密な関係をもとうとしない傾向が、生まれもった遺伝要因に由来する部分が大きいと考えられているのが、シゾイド・パーソナリティである。

自閉症スペクトラムと重なっているケースも多い。

このタイプは、回避型愛着スタイルが同居することも多く、その場合には、結婚や子育てに関心がなく、自分の内面や自分だけの世界に楽しみを追求することが多い。

ただ、愛着スタイルが安定型の人は、少数の人となら親密な信頼関係を築くことができ、夫婦関係や子どもとの関係も安定している。

7.妄想性パーソナリティ・タイプ―親しい人も信じられない

他者が信じられないことを特徴とするのが妄想性パーソナリティである。

自分の内面や内情を知られることに警戒心が強く、もっとも親密な人さえも信用せず、監視したり支配したりしようとする。

またこのタイプは、回避型と不安型が同居した、恐れ回避型の愛着スタイルを示すことが多い。

信じられる人を求めつつも、誰も信じられないというジレンマを抱えているためである。

最初のうちは、折り目正しくふるまうが、親密な関係に進展すると、猜疑心にスイッチが入り、相手を監視の目でみてしまう。

また回避型の傾向が強いと、いつもよそよそしく、ドライな傾向が強まり、相手を権力やお金の力で支配しがちである。

境界性パーソナリティ・タイプ―両極端に変動し、自分が嫌い

気分や対人関係が両極端に揺れ動いたり、自己否定が強く自分を傷つける行為を繰り返すのが、境界性パーソナリティの特徴である。

愛着スタイルとしては、不安型(とらわれ型)と未解決型(養育者との間に愛着の傷をひきずっており、養育者のことを考えると、冷静でいられなくなるのを特徴とする)が併存している。

恐れ・回避型愛着スタイルを抱えることも少なくない。

この場合には、家族に依存しながら、同時に攻撃するという状況に陥りやすく、そのためひきこもりになりがちである。

また、妄想性パーソナリティに似て、人を信じようとするが信じられないというジレンマにも陥りやすい。

妄想性パーソナリティが生真面目で、粘着的な気質をベースにしているのに対して、境界性パーソナリティは、気まぐれで移り気な点が特徴である。


どのタイプにも共通して言えることは、パーソナリティのタイプが何であれ、愛着スタイルが安定すれば、生きづらさや社会に対する不適応感がやわらぎ、自分を活かした人生を歩みやすくなるということである。

人生が行きづまり、落とし穴にはまったとき、それを救うもっとも有効な手立ては、安全基地を強化し、愛着を安定化させることなのである。

※参考文献:回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち 岡田尊司著

 

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