外因でも内因でもない、身近な存在という撹乱因子

医学モデルは、病原菌や外傷といった純粋に外的な要因によって起きた障害の場合や、遺伝子や生活習慣といった本人に内在する要因により起きた疾患や障害においてはうまく機能する。

ところが、そこに人間の気持ちや作為が関与すると、そうとも言えなくなる。

たとえば、同じ外的要因による場合でも、わが子に毒を飲ませ、病気を作り出す行為にふけってしまう「代理ミュンヒハウゼン症候群」というものがある。

この場合、医学モデルでいくら頑張って本人の診断や治療をしても、症状は良くならない。

起きていることが「本人」の病気や障害ではなく、献身的な愛情深い親に見える存在によって引き起こされているということに気づいて、親を本人に近寄らせないようにするしか、改善の手立てはない。

遺伝子のような内因でもなく、病原菌や外傷のような外因でもない、その中間に位置する身近な存在との関係が、攪乱因子としてかかわっている。

支え手であるはずの存在が、じつは原因となっているというトリッキーな状況も珍しくない。

こうした例は、極端な例と思われるかもしれないが、意外なほど身近にあふれている。

病原菌や毒を食事や点滴に混ぜるほど、あからさまな意図をもって病気を作り出しているわけではないが、不安定な親や不仲な両親は、知らず知らずのうちに、わが子に大きなストレスを与え、病気を作り出してしまう。

熱心過ぎる親は、すべてのレールを敷き過ぎて、子どもの主体性や意欲を奪い、無気力な状態に陥らせる。

こうした場合、医学モデルにとらわれすぎ、子どもだけを見ていたのでは、何が起きているのか真実に気付かないこともある。

本当の原因が、親の不安定な状態や、両親の不仲、否定的な養育や、主体性の侵害にあるとしたら、いくら子どもを診断し治療したところで、良くなるわけがない。

病気は、二次的な副産物であって、原因ではないからだ。

原因を突き止めるということが本来の診断ということであれば、当人の症状にとらわれず、もっと大きな視点で、何が起きているかを知る必要がある。

※参考文献:愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる 岡田尊司著