そうした回避型愛着スタイルの心のエネルギーの乏しさと、しばしば結びついているのが、失敗に対する過剰な恐れである。

回避型愛着スタイルの人は、目的に向かって奮闘努力することに消極的である。

目的の実現を、早々に諦めてしまう傾向もある。

途中で困難や障害に出くわすと、いっそう諦めが早くなる。

失敗したときに受ける心的ダメージを恐れてしまうからだ。

失敗して傷つくくらいなら、チャレンジや努力をしないでおこうと思う。

少しでも失敗する恐れを感じると、自動的にチャレンジを避けようとする。

そして、実力以下の、退屈な選択肢に甘んじてしまう。

回避型愛着スタイルの中でも回避性パーソナリティの傾向がある人は、「自分は何をやってもどうせ失敗する」という思い込みに囚われがちである。

その思い込みは、否定的な認知の歪みと結びついている。

実際には、成功体験であっても、その中のダメな部分だけに注意を向け、やはり失敗だったと断じてしまう。

ある男性は、長期間引きこもった末に、四十歳になったときに奮起して、働き始めた。

半年ほど働いたが対人関係がしんどくなり、結局やめてしまった。

そのことを、彼は「やはり失敗してしまった。

自分はダメな人間だということが、改めてわかった」と否定的に述べた。

「奮起してやろうとしても、結局、失敗してしまう。

また何かやっても、どうせ失敗してしまうという気持ちになる」と。

長期間のひきこもりの後に、半年間仕事が続いたということは、むしろ高く評価されるべきことである。

しかし、続かなかったことだけを取り出して、「失敗だった」と受け止めてしまうのだ。

こうした否定的な見方は、親から刷り込まれたものであることが多い。

実際、このタイプの人のほとんどが、「親からあまり褒められたことがない」と語る。

このタイプの人の親は、強迫的に自分の基準をわが子に当てはめ、できていないところばかりをあら探しし、注意や指導をしてきたということが多い。

このように減点法で育てられると、子どもは主体的で積極的な行動を控えるようになる。

言われたことだけをするのが一番安全だからだ。

余計なことをすれば、また失敗したり、注意される機会が増えるだけである。

※参考文献:回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち 岡田尊司著