意外に小さい愛着の遺伝的要因

人づきあいが苦手であるとか、親密な関係を好まないとか、一人の方が気楽といった回避型愛着スタイルの特徴は、生まれ持った特性のように思われがちだ。

かつて、こうした傾向の人は、シソイド(分裂気質)と呼ばれ、先天的な素質によるものだと考えたれてきた。

ところが、研究が進むにつれて、愛着スタイルを決定するのは、遺伝要因よりも、むしろ環境要因であることがわかってきた。

より正確に言えば、遺伝要因も四分の一くらい関係するが、四分の三くらいは、養育環境などの環境要因によって決定されるということである。

それも幼い頃の影響がもっとも大きく、特に一歳半までの養育環境が重要と考えられている。

ただし、それ以降の環境も関わっており、学校や社会における対人関係の影響も少なくない。

意外の大きいのは、恋人や配偶者といったパートナーからの影響である。

まずここで頭に入れておいてほしいのは、一見、生まれもったものに思える愛着スタイルも、実は、後天的な体験で形づくられた部分が大きいということである。

それに関連して、示唆に富む一つの研究がある。

オランダのファン・デル・ベームらは、生まれて間もない赤ん坊の中から、気難しく、よく泣いて手のかかる赤ん坊を百人選び出し、それを半数ずつ二つのグループに分けた。

一つのグループには、特別な働きかけは行わず通常通りの対応とし、もう一つのグループには、生後六カ月から三カ月間、赤ん坊への反応を積極的に増やすように母親に指導した。

そして、生後一歳と生後二歳の時点で、赤ん坊の愛着タイプを調べたのである。

結果は驚くべきものであった。

通常の対応しか行わなかったグループでは、多くの子どもが回避型の愛着を示したのに対して、豊かに反応するように指導したグループでは、ほとんどが安定型の愛着を示したのである。

しかも、この傾向は、二歳の時点でも認められたのである。

生後六カ月から三カ月間、こうした働きかけを行っただけで、愛着が大きな影響を受け、しかも、その影響が持続的に認められたという事実は、愛着がいかに後天的な養育の影響を受けやすいかということを示している。

生後二歳の時点で認められた愛着タイプは、三分の二の人で、成人した時点でも変わらずに認められるとされる。

ゼロ歳のときの親の関わり方のちょっとした違いが、その人の行動パターンや対人関係の在り方に、生涯続くような影響を及ぼすのである。

この研究結果は、同時に、非常に重要なことをわれわれに教えてくれる。

生まれつきの”性格”とされているものも、実は養育者(親)の関わり方によって、かなり左右されているということである。

逆に言うと、注意を払った養育を行うことによって、子どもに、適応能力の高い、安定した”性格”を授けることも可能だということだ。

幼いころならば、親が関わり方を変えることによって、比較的短期間に愛着スタイルを安定したものに変えられる。

回避的な傾向を示していた子どもでも、関わる時間やスキンシップを増やし、本人の反応に、親の側が共感的な応答を増やすようにすることで、愛着は安定したものに変化し得るのである。

そのことは低年齢のときほど容易であるが、年齢が上がってからも、まったく不可能と言うわけではない。

愛着スタイルは、しだいに固定化され、容易にはかわらなくなるが、まったく不変というわけではないからだ。

成人の場合であっても、不安定型だった愛着スタイルが安定型に変わることもあれば、その逆のケースもある。

その場合、身近で一緒に過ごす人の愛着スタイルの影響が大きい。

つまり、幼い子どもに対するのと同様に、関わり方に配慮することによって、愛着スタイルが安定したものに変化していく。

※参考文献:回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち 岡田尊司著

 

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