肉親やパートナーなど愛する人の死に際して、その悲しみを受け止め、乗り越えていくために、人は喪の作業(モーニング・ワーク)を行う。

愛着スタイルの違いは、喪の作業においても違いとなってあらわれる。

このことは、すでにボウルビィが指摘していたことでもある。

安定型愛着スタイルの人では、肉親やパートナーの死と、あまり困難なく向き合う事ができ、生前の思い出についても整然と話しをすることができる。

喪失感に圧倒されることなく、悲しみやつらさを表現することができるので、故人への愛着を保ちつつ、それを緩やかに薄れさせていくことができる。

故人について肯定的に語ると同時に、自分に対しても肯定的に受け止めるので、新しい生活に積極的に進んでいくことができる。

うつになったり心が不安定になったりすることなく、喪の作業が順調に進んでいきやすい。

それに対して、不安型愛着スタイルの人では、喪の作業が遷延化して長期化しやすい。

故人に過剰に依存し、感情的にも深く関わっていただけに、その悲しみや喪失感は普通の人よりも大きい。

一方、回避型愛着スタイルの人では、喪の作業そのものが欠如する傾向がみられる、

涙も流さず、割と平然としていることもある。

回避型愛着スタイルの人は独立独歩のライフスタイルをとりやすく、肉親やパートナーへの依存や関与が小さく表面的なので、死によって受ける影響も小さいということもある。

しかし、悲しみや喪失感を感じていないのかと言えば、一概にそうは言えない。

というのも、回避型愛着スタイルの人は、体の変調となって表れることが多いとされるからだ。

精神的には向き合うことを避けても、それが体の症状となって出てきやすいのである。

悲しみを口にすることのない状態が何年間も続いた後、あるとき突然、それまで押し殺していた悲しみが湧き上がってくるということもある。

配偶者をなくした人を対象に、死の一年二か月後の時点で行われた調査では、回避型愛着スタイルの人の場合、故人のことを否定的に語る傾向がみられた。

恐らくそうすることによって、故人から距離をとり、価値を貶めることで、喪失感をやわらげているのだと考えられる。

それとは対照的に、不安型愛着スタイルの人は、故人を理想化して回想する傾向がみられた。

存命中には、不満や否定的なことを口にすることが多かったのとは対照的である。

もっとも喪の作業が困難で不安定なものになりやすいのは、回避型愛着スタイルと不安型愛着スタイルの両方の傾向が強い、恐れ回避型の愛着スタイルの人である。

不安や抑うつ、悲嘆反応が強く表れ、また、亡くなる時の光景を思い出して強い不安や解離にとらわれるといった心的外傷様の反応もみられることがある。
アルコールに逃避するということも多い。