「成人愛着面接では、親との関係に焦点を当てる」

愛着スタイルの診断法である成人愛着面接について説明します。

成人愛着面接の特徴は、親(養育者)というもっとも重要な愛着対象との関係に焦点を当て、それが心のなかで、どのように整理されているかをみる点である。

1.あなたの親(母親、父親、それ以外の養育者)との関係で思い浮かぶ形容詞を5つ答えて下さい。

2.いま、答えた5つの形容詞の一つ一つについて、それを具体的に表す子ども時代の経験を答えて下さい。

3.あなたが子どものときに、困ったり、病気になったり、怪我をしたときに、親(養育者)はどんな反応をしましたか。

4.もし、あなたが、子どもの頃、親(養育者)と離ればなれになったり、死別した経験があれば、そのことを、あなたはどんなふうに感じていましたか。

5.もし、あなたが、親(養育者)との関係で、心が傷つくような経験をしたとすると、それはどんなことですか。

6.親(養育者)に対するあなたの気持ちが変化したということはありますか。
あるとすれば、どんな変化ですか

7.親(養育者)に対するあなたの現在の気持ちは、そんなものですか。

検査を終えたところで、結果をどのように判定するかについて述べておこう。

この検査の眼目とするところは、被験者が子ども時代に、親(養育者)との関係で、その程度一貫性のある心理的体験をしたかをみることである。

その程度によって、次の三つのタイプのどれにあてはまるかを判定する。

1.自律型
2.愛着軽視型
3.とらわれ型

自律型は、1.で答えたそれぞれの形容詞について、それが表す具体的な体験を豊かに思い出して語る事ができる。

そして、子ども時代の体験に対して一貫した態度を示し、過去や現在の親や養育者との関係について客観的に振り返ることもできる。

ネガティブな体験に対しても、共感や許しの気持ちを示し、親(養育者)に対して肯定的に語る。

愛着軽視型は、自分の子ども時代について、一応ポジティブな見方を示し、親(養育者)との関係についても、ポジティブな形容詞で表現するが、それを具体的に表す経験について問われると、あまり生き生きと思い出すことができない。

幼少期の記憶が乏しいというのも、一つの特徴である。

また形容詞こそ、ポジティブなものだが、その具体的な中身は、それほどポジティブなものではなく、現実よりも理想化する傾向もみられる。

親(養育者)との関係については、大して重要なことではないという態度を示すのも特徴である。

とらわれ型は、子ども時代や親(養育者)との関係について客観的に振り返ることが困難である。

今なお恨みや怒りを引きずっており、質問に対しても曖昧な答えしか返さなかったり、感情的になったり、そうした質問をされることで不機嫌になったりする。

以上の三つのタイプに当てはめるのが難しい場合は4.分類不能型とする。

分類不能型も、自律型ではないという意味で、判定の意義がある。

克服の途上にある場合、タイプの混在が起きて分類不能型を呈することがある。

複数の親、養育者に対して、それぞれタイプが異なるという場合もある。

もう一つチェックすべき点は4.と5.の質問、つまり親(養育者)との離別(死別)や外傷的体験についての質問に対する反応である。

この質問に対して、混乱や沈黙、否定的な反応を示した場合は5.未解決型と判定する。

未解決型は、これまでの四つのタイプのどれかに重複して診断される。

「子ども時代の愛着パターンとの関係」

子ども時代の愛着パターンとの関係も含めて、もう一度整理しておこう。

自律型の人は、安定型の愛着スタイルに相当し、愛着の問題はおおむね認められない。

子ども時代に親や養育者と安定した愛着をもつことができた人が多いが、虐待やネグレクトを受けた場合でも、それを乗り越えた人はこのタイプを示す。

自律型の人は、対人関係において、信頼で結ばれたパートナーシップを確立し、維持することができやすい。

一方、愛着軽視型の人は、回避型愛着スタイルに相当する。

脱愛着の傾向を示し、過去の傷つき体験を記憶から切り離し、蓋をすることで、心の安定を保っていると言える。

幼いころの記憶が乏しく、ことに悲しい記憶や不安な記憶を思い出すのに時間がかかるのは、そのためである。

また、信頼したり尊敬できる存在や、それにまつわる出来事を思い出すことも困難である。

愛着軽視型の人は、親(養育者)に甘えようとして拒絶されたり、かまってもらえなかった子どものころのつらい記憶を抑圧し、「そんなものは自分には必要ない」と思うことで、自分を守ってきた。

その結果、人に頼らず、自分の力だけを当てにし、独立独歩型、一匹狼型のライフスタイルをとりやすい。

親密な関係を避けたり、人を信頼しなかったり、権力や業績や金の力といったものを信奉したりすることで、自分の価値を守ろうとするのである。

とらわれ型は、不安型愛着スタイルに相当し、また子どもの抵抗/両価型に対応する。

とらわれ型の人は、親(養育者)との傷ついた関係が、今も生々しく心を捉えており、親を求める気持ちと、憎んだり拒否したりする気持ちとが葛藤している状態にあると考えられる。

傷を受け止め、乗り越えるということが、まだできていない。

その結果、親以外の対人関係においてもアンビバレントな感情にとらわれたり、過剰に傷ついたりして、不安定になりやすい。

幼い頃の混乱型は、その後の対応次第で、どの愛着スタイルにも分化し得るが、とらわれ型愛着スタイルになることが多い。

また、虐待や対象喪失などによる心の傷が深いと未解決型の愛着スタイルも合併しやすい。

両者が合併したケースは、大部分、境界性パーソナリティ障害や、その状態になりやすい傾向を抱えている。

愛する人との別離といった愛着不安が強まる状況で、再び混乱を呈しやすい。