愛着の三つのスタイル

お互いをより理解し、愛情を深めるためには、自分と相手の愛着スタイルを知っておくことが役立つ。

愛着スタイルとは、母親に対する幼児の愛着が成人してからも対人行動パターンとして定着したものである。

愛着スタイルは、安定型愛着スタイル、回避型愛着スタイル、不安型愛着スタイルと大きく三分類される。

1.安定型愛着スタイル

このスタイルは、幼児期に母親との間に確固とした愛着が形成されたことに由来する。

自分と他者を信頼しており、率直で温かな人間関係を持つことができる。

必要なときには他者に依存するし、何か問題が起こればその解決に協力しあう。

人と交わることを楽しみ、仕事にも家庭生活にも満足していることが多い。

このスタイルの人はしっかりした自己価値感を持っていることが多い。

2.回避型愛着スタイル

このスタイルは、幼児期の母親への拒絶的な感情に由来するものと考えられる。

他者に対し親密さを求めるよりも距離を置くことを好む。

感情表現は抑制的で、心を開くことに困難を覚える。

このために、何を考えているのかわからないとか、冷たい人という印象を与える。

人間関係でも物事でも、関わり合いになることを嫌がる。

このスタイルの人は、根底に無価値感があるが、それを強い自立心と独立心で補っていることが多い。

このために、能力がある場合には孤高の人という印象を与え、さほどの能力がなければ変わり者とみなされることがある。

不安型愛着スタイル

幼児期に安定した愛着が形成できなかったことに由来するスタイルである。

親密さを強く求めるが、嫌われたり、見捨てられたりするのではないかという不安が強い。

このために、終始周囲の人の顔色を気にして、ちょっとしたことで気分を害しやすい。

また、性急に親密さを求めたかと思うと、急に離れたりするなど不安定な人間関係になりがちである。

このスタイルの人は、一般に無価値感が強く、好かれたり、ちやほやされることで無価値感を埋めようとする。

トラブルへの対処法

こうした愛着スタイルの違いは、とりわけ、愛情関係に問題が生じたときに表れる。

安定型愛着スタイルの人は、問題に対して率直に向き合おうとする。

また、必要な場合には、自分の方から折れる柔軟性を持っている。

自己価値感に揺らぎがないので、意固地になったり、勝ち・負けにこだわったりしないからである。

このために、相手がよほど問題を持つ人でなければ、泥沼化することから免れる。

さらに、関係がどうしても修復できないと判断した場合や、もはや修復に値しないと判断した場合には、断固とした決断ができる。

回避型愛着スタイルの人は、問題が生じると閉じこもる傾向が顕著になる。

家族や親戚の問題でもかかわろうとしない。

身内のことなのに面倒なことを相談されたり頼まれたりすると、怒るようなこともある。

これは必ずしも冷たいからではない。

「他の人の気持ちは私にはどうしようもない」と考えていたり、「私は自分で処理しているのだから、他の人も自分で処理すべきだ」などという暗黙の信念に基づいている。

感情を表出してぶつかり合うことを避けるので、悶着が生じると冷戦状態になりがちである。

また、自分が正しいと信じ込む傾向が強く、適当に折れることができない。

このために冷戦状態は長引く。

自分がこのスタイルである人は、何よりも自己防衛の姿勢を解くことが課題である。

すなわち、心を素直に表出する努力をすることである。

相手がこのスタイルである場合には、性急にならずに、少しずつ心を開いていくよう働きかけることである。

不安型愛着スタイルの人は、自分が混乱するばかりでなく、周囲をひっかきまわしがちである。

ちょっとした注意や非難に感情を害しやすい。

もっぱら愛されることを求め、問題の原因を相手に帰す傾向が強い。

自分を被害者に見立てて、相手を悪者にし、相手を非難し、相手を苦しめることで罰を与えようとする。

なかには直接的行動として表現せずに、内面にため込む人もいる。

この場合、沸騰点に達すると一気に大きな感情的動揺と怒りの行動として噴き出すことがある。

愛情から喜びとエネルギーを得るためには、お互いに自立と寛容が求められる。

逆に、依存と支配欲求の両方を持つと、自分を傷つけ、相手を振り回すことになり、幸福な恋愛や結婚生活の障害となる。

不安型愛着スタイルの人は、とりわけ感情的な依存と強い支配欲求を持つことが少なくないので注意を要する。

相手を非難したいときには、その批判を自らに向け直してみる姿勢が求められる。

相手が不安型愛着スタイルの場合には、相手の感情に巻き込まれないよう一歩退いて対応することが必要である。

ともあれ、相手をこういうタイプの人だと知れば、ある言葉や行為を意地悪だからとか、悪意からだとか、嫌いだからだとか、受け取らないで済む。

生活を共にすれば、もめ事やケンカが生じることは避けられない。

ケンカになったときには、適度なところで折れることが最も大事である。

ちょっとの勇気を出して、自分の方から歩み寄ろう。

「ごめん」「もう、やめよう」と言おう。

メモでもよいし、メールでもよい。

柔軟に折れる力を身に付けよう。

柔軟性こそ強さである。