その後、ボウルビィは、母子の結びつきが破綻することによって起きる破壊的ダメージが、人間に限らず、動物でも見られることを知り、母子の結びつきを生物学的な現象として理解するようになった。

そして、特定の養育者との結びつきが、幼い子どもの発達や安定にとって不可欠な役割を果たしているという確信をもつようになり、その結びつきを「愛着」と呼ぶようになったのである。

ボウルビィは、「捕食動物に食べられる」という危険から子どもを守るためには、幼い子どもが母親にくっついていることが必要であり、身体的な密着を求めようとする仕組みが進化したのだと考えた。

その後、ボウルビィは単に捕食者から身を守るだけでなく、不安を感じたときに愛着対象にしがみつくことができるということが、安心感の拠り所となり、活発な「探索活動」を支えているという考えを発展させた。

つまり、安心感の拠り所をもつことによって、子どもは知的、社会的、情緒的経験を積むことができ、健全な発達を遂げ、安定した人格を獲得することができると考えるようになったのである。

さらに、養育者との安定した愛着が果たす「安心感の拠り所」としての役割に、「安全基地」という絶妙の呼び名を与えたのは、ボウルビィの研究協力者であった、心理学者のメアリー・エインワースであった。

そして、彼女は、愛着理論に大きな発展をもたらすことになる。

※参考文献:愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる 岡田尊司著