弱ったときにこそ、出会いも生まれる

また、ピンチがチャンスになりやすい理由の一つは、そういうときこそ、その人に必要な出会いや深い絆が生まれやすいということである。

弱っているとき、安心感の拠り所を求めようとする愛着システムが活性化しやすい。

元気な時なら人に頼らないような人でも、弱っているとき、どん底のときには、人を身近に感じていたいと思う。

心のうちまで打ち明けられるかどうかはともかく、メールをしたり、電話をかけたり、安心できる人に会いたいと思う。

普段は人に相談などしない人でも、誰かに話を聞いてほしいとか、意見を聞きたいと思う。

そうなる理由は、不安が高まった状況に対して「愛着システム」のスイッチが入り、愛着行動が増加することによる。

そして愛着行動は、出会いを引寄せたり、人との関係を親密にしたり、その人が今必要とする助けをもたらす。

愛着は、個人を超えて備わった相互扶助システムでもある。

だから、誰かが助けを求めようとしておこなう愛着行動に対して、回避型愛着スタイルの人は別として、周りの人は「求めに応えようとするスイッチ」が入るようにできている。

それゆえ、相手をよほど間違わない限り、愛着行動は相手の応答行動を引き出し、それによって、助けを求める人と助ける人の関係が生まれる。

しかも面白いことに、助ける行動をおこなうと、人は自分が助けた相手に愛着を覚え、特別な関係が育ち始める。

母親は、おばあちゃん子よりも、自分が世話をした子どもの方が可愛く感じることが多いが、同様に多くの人は、助けを求めてきた人の面倒を見ているうちに、その人に対して他人以上の気持ちをもつようになりやすいのだ。

さらに、そういう出会いにおいては、自分のいちばんの弱みやダメな部分もさらけ出しているので、余計に深い信頼が生まれやすい。

実際、人生最大のピンチにおいて、人生最高の出会いに恵まれるということは、しばしば起きることなのである。