厄介なケースほど、愛着モデルが有効

不安定な愛着と関連が深く、発症のリスクを高めることが知られている疾患や障害名はざっと並べただけでも次のようなものがある。

うつ、中でも慢性のうつ状態、気分変調症、境界性パーソナリティ障害、不安障害、若年発症の双極性障害(躁うつ)、解離性障害、ADHD、非行(素行障害)、虚言癖、抜毛癖、窃盗癖、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、摂食障害、アルコール依存症、薬物依存症、インターネット依存症などの依存症・・・などなど。

また、深刻な愛着障害の場合には、発達障害と見分けのつかない状態が生じてしまう。

こうしたケースでは、愛着障害と診断されることは稀で、大部分が発達障害として扱われているのが現状だ。

愛着障害の問題は、うつや不安、自己否定といった精神的な問題だけでなく、虚言や非行、依存行為、自傷など自己破壊的行為など、行動の問題に結びつきやすいことも知られており、その人の生活や人生に破壊的な作用を及ぼしてしまうことも少なくない。

これらの診断が複数当てはまる人では、個々の病気や障害が合併しているというよりも、愛着障害の結果、一連の問題が起きていると考えた方が理解しやすいだろう。

そのような問題に対して医学モデルを適用し、表面に現れている症状だけから診断してしまったのでは、本当の問題はかえって見えなくなってしまう。

さらに不幸なことに、いったん本人の病気や障害と診断されてしまうと、あくまで本人の「異常」や「問題」とみなされ、治療や手当てが施される場合も、その標的は、本人自身の症状や問題行動となることが多い。

もっと大きな原因が、すぐ近くにでんと構えているのに、そこに目をむけないのだ。

そこにこそ働きかけを行うべきなのに。

※参考文献:愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる 岡田尊司著