感情が表現できるようになるには、表現したら何が起こるだろうという自分の怖れと向き合う必要があります。

別の言い方をしましょう。

もしあなたが母親のことを嫌いだと言ったり、父親が自分を置いて行ってしまったと言って泣き始めたら、どんなことが起こるだろうと怖れていますか?

多くの場合、それは次のような怖れです。

1.相手が私を好きでなくなる

2.本当は私がどんなによくない人間か知られてしまう

3.弱い人間だと思われる

4.もろいダメな人間だと宣告される

5.そんなふうに感じる理由などないと言われてしまう

6.自分がコントロールできなくなる

確かにかつて、こうした怖れは現実的なものでした。

あなたが自分の感情を正直に口に出すと、親や、あなたの面倒をみてくれた人達は拒絶反応を示し、そのためあなたは見捨てられたような気分になったでしょう。

「今でも同じだろうか?」

と自分に聞いてみることが必要です。

私たちはときとして、十年、二十年、あるいはそれ以上も前のことなのに、一度も問い直さずに同じ怖れを抱いたまま行動していることがあるのです。

もしも今、誰かに向かって感情を表現し、否定的な反応が返ってきたとしたら、自分にこう聞いてください。

「私は他人の判断を信じたいのだろうか?」

それともあなたは、自分を確認し、自分の内面の判断を信頼し、肯定的な自己評価を強めたいですか?

感情の正体を見分ける

感情表現を許さない家族のシステムの中で育った人は、握り締めたこぶしや固い腕組みが怒りのサインだということさえ、なかなかわからなかったりします。

感情を探るプロセスを始めたばかりの人に何を感じているかと聞いて、「わかりません」という答えが返ってくるのはめずらしいことではありません。

多くのセラピストが、これを反抗と受け取ってしまいます。

でも、おそらく本当にわからないのです。

これは心理的な麻痺状態、あるいは凍りついた感情とでも言うべきものです。

感情は、私達が何を必要としているかを教えてくれる手がかりです。

たとえば、あなたが何か心地悪い感じがし、今何を感じているのだろうと自分に問いかけてみたら、寂しいのだとわかったとします。

そんなときに寂しくなるのかを知っておくことは大切です。

それができれば、その感情に今、対処できるからです。

けれどあなたが自分の感情に耳を貸さず、きちんと応えなかったなら、その心地悪さを仕事のし過ぎや過食など建設的でない方法で埋めることになるでしょう。

感情はまた、私達の安全を保つ境界を設定するための指針にもなります。

嫌な感じがしていると気づくことで、相手と距離をとったり、要求に対してノーと言ったりできるのです。

あなたがどのようにして感情を埋め合わせる習慣があるかを知っておくことは、感情を見分ける役に立ちます。

というのは、こうした埋め合わせの行動は、自分が何をかんじていて何を必要としているのかを示す手がかりになるからです。

たとえば、悲しさを埋めるために過食していたと気づくことは感情への対応を変えるチャンスとなります。

感情を表現する

感情を表現することで、他の人とつながり、きずなを育てることも可能になります。

親密さを体験することができるのです。

感情は、人生を意味あるものにするために重要で欠かせないものです。

ただし、自分が感じるすべての感情を人と分かち合う必要はありません。

大切なのは、何かを感じた時にそれがどんな感情なのかわかることであり、自分の感情とともにいられることであり、その感情を誰かと分かち合うかどうか、そして誰と分かち合うのかを自分で決められるということです。

感情というテーマにアダルトチルドレンからの回復の4ステップを使う例をあげておきましょう。

ステップ1.子ども時代に感じた感情を思い起こして、そのうちどんな感情は表現しても大丈夫だったか、どんな感情は表現できなかったかをあげてみてください。

安全でない感情を表現しようとすると、どんなことが起こったでしょう。

あなたは、何が起こるのを怖れていましたか?

表現できない感情をどうしていましたか?

あなたが気付いたことを信頼できる人と分かち合ってください。

この体験を思い出したことによる痛みを、止めずに感じて下さい。

ステップ2.子ども時代の体験が今のあなたにどんな影響を与えているか、考えてみましょう。

ステップ3.感情というものについて、あるいは特定の感情について、あなたが心に取り込んだ信念をはっきりさせましょう。

こうした信念は、今のあなたにとって害になっていますか、助けになっていますか?

あなたが手放したいものと、これからも持っていたいものとを見分けましょう。

ステップ4.さまざまな感情を書き出したリストをつくってください。

毎日時間をとって、立ち止まり、リストを取り出して、今感じているのはどの感情か自分に聞きましょう。

その感情を分かち合える相手はいますか?

つらい感情を感じているとき、誰かと分かち合う以外にも、日記を書く、リラクゼーションのエクササイズをするなど、自分をケアするためにできることはありますか?

※参考文献:子どもを生きればおとなになれる<インナーアダルト>の育て方 クラウディア・ブラック著 水澤都加佐監訳