とらわれを自覚すると楽になる

禁止令による自覚

過去からのとらわれにより反射的に感情が喚起され、無意識のうちに行動が規定される。

したがって、そうしたとらわれを卒業するには、自分の心と行動がどうのようなとらわれにより反射的に動いているかを自覚することが出発点になる。

この自覚のためには、禁止令という観点からチェックするとやりやすい

1.実行してはいけない

  • しなければならない仕事をぐずぐずと延ばしてしまう。
  • 指示されたことは安心してできるが、自分から行動することができない。

2.子どものように楽しんではいけない

  • 遊びや楽しむことが悪いことであるかのように感じられる。
  • 何をしていても、どこか気がかりで没頭できない。

3.成功してはいけない

  • 大事な場面で実力が出せないとか、実際に失敗してしまう。
  • スムーズに事が運んでいると不安になる。
  • うまくできても、自分にはそぐわない感じがする。

4.成長してはいけない

  • 社会にでていくことに対して大きなストレスを感じる。
  • 上司や年長の人と接するとき、幼さや無力さを演じてしまう。
  • 年下の人でも、自分より年上であるように感じる。

5.重要な人物になってはいけない

  • リーダーや責任ある立場になるのがひどく不安である。
  • 陰で支える役が合っているように感じる。
  • 人から注目を浴びるのが苦手である。

6.みんなの仲間入りをしてはいけない

  • 人のなかにいることがストレスである。
  • 集団に入っていくことが苦手である。
  • 表面上みんなと楽しんでいても、どこか醒めた目で見ている。

7.健康であってはいけない

  • いつでも身体のどこかの調子が悪い。
  • 大事な出来事の前になると体調が悪くなる。

8.考えてはいけない

  • 考えると頭が痛くなる。
  • その時々の流れに任せてしまうという生き方をしている。
  • 感情に任せて行動してしまい、ストレスを背負い込むことが多い。

禁止令とは、「〇〇してはいけない」という呪文の形で私たちの心に埋め込まれ、無意識のうちに心と行動を束縛してしまうものである。

上記の述べてきた禁止令は、「〇〇であってはいけない」という禁止の形で私たちを束縛するものであった。

逆に、「〇〇であれ」とか、「〇〇せよ」という形で私たちを束縛するものを拮抗禁止令という。

無価値感の強い人は、むしろ拮抗禁止令に強くとらわれていることが少なくない。

拮抗禁止令

1.強くあれ

  • 弱みを見せられない。
  • なんでも自分の中で耐えてしまう。
  • いつでも張り合ってしまう。

2.完全であれ

  • 完璧でないと気が済まない。
  • 規則や細かいことに過度にこだわってしまう。
  • 何をやっても不全感が残る。

3.努力家であれ

  • 与えられた仕事が過大でも、がんばってこなしてしまう。
  • 何事も生真面目に取り組み、適当な手抜きができない。
  • がんばっても、がんばり足りないという自責感がある。

4.特別であれ

  • 他の人と同じでは無価値だと思う。
  • 称賛を求める欲求が強い。
  • 自分を異質だと感じることが多い。

5.他の人を喜ばせよ

  • 自分の気持ちよりも、他の人の気持ちを優先する。
  • 気に入られるように、自分を犠牲にして尽くす。
  • 相手が不機嫌になると、自分が悪いように感じる。

6.さっさとせよ

  • いつでもせきたてられている感じがする。
  • 休憩をうまく取ることができない。
  • やりかけの仕事がいつも気になる。

7.(自分のことは)自分でやれ

  • 他の人に甘えたり、依存することができない。
  • 手伝ってもらうより、自分でやってしまった方が気が楽である。
  • 親切にされると、大きな負い目を感じてしまう。

意識するだけで気持ちが軽くなる

自分を呪縛している禁止令を知ると、より意識的に思考し行動するのに役立つ。

禁止令が非常に強固に埋め込まれている場合は、完全に抜け出すことはたやすいことではない。

また、短期間で脱却できるものでもない。

だから、必死になってこれから抜け出す努力をすることは、必ずしも賢明ではない。

さしあたり、禁止令にとらわれている自分の心と行動を意識すればよい。

たとえば、作業をやり終えたのに不全感が湧いてきたら、「今、”完全であれ”の禁止令にとらわれているな」と意識する。

そうすると、「この不全感は不条理なものだから、そんな気持ちになる必要はない」と、自分の気持ちを切り替えることができる。

こうしたことを日々繰り返していくことで、自分を不当に貶めることから脱却できる。

※参考文献:「自分には価値がない」の心理学 根本橘夫著