競争と仲間

これは競争ともつながる話ですが、対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸からのがれることができません。

なぜなら競争の先には勝者と敗者がいるからです。

具体的に自分のこととして考えてみてください。
たとえばあなたが、周囲の人々に対して「競争」の意識を持っていたとします。ところが競争には勝者と敗者がいる。
彼らとの関係について、勝ち負けを意識せざる負えなくなる。

A君はこの名門大学に入った、B君はあの大企業に就職した、C君はあんなにきれいな女性と付き合っている、それに比べて自分はこんな具合だ、というように。

競争や勝ち負けを意識すると、必然的に生まれてくるのが劣等感です。
常に自分と他者とを引き比べ、あの人には勝った、この人には負けた、と考えているのですから。
劣等コンプレックスや優越コンプレックスはその延長線上にあります。
さて、このときあなたにとっての他者とは、どんな存在になると思いますか。

いつの間にか他者全般のことを、ひいては世界のことを「敵」だとみなすようになるのです。

すなわち、人々ははいつも自分を小馬鹿にしてせせら笑い、隙あらば攻撃し、陥れようとしてくる油断ならない敵なのだ、世界は恐ろしい場所なのだ、と。

競争の怖ろしさはここです。たとえ敗者にならずとも、たとえ勝ち続けていようとも、競争の中に身を置いている人は心の休まる暇がない。敗者になりたくない。そして、敗者にならないためには、常に勝ち続けなければならない。
他者を信じることができない。
社会的成功をおさめながら幸せを実感できない人が多いのは、彼らが競争に生きているからです。
彼らにとっての世界が敵で満ち溢れた危険な場所だからです。

しかし、実際のところ他者はそれほどにも「あなた」を見ているものでしょうか?
あなたを24時間監視し、隙あらば攻撃してやろうと、その機会を虎視眈々とねらっているものでしょうか?
おそらくちがうでしょう。

とある少年がないこと鏡に向かって髪を整えていたそうです。すると彼は祖母からこういわれました。「お前の顔を気にしているのはお前だけだよ」と。

それ以来、彼は生きていくのが少しだけ楽になったといいます。

もしあなたが優秀なお兄さんやその他の対人関係を「競争」の軸で考えなかった場合、人々はどんな存在になると思いますか?

より積極的な「仲間」になっていくはずです。

対人恐怖症や社交不安障害の人の中で、ある人はは言います。「幸せそうにしている他者を心から祝福できない」と。

それは対人関係を競争で考え、他者の幸福を「私の負け」であるかのようにとらえているから祝福できないのです。

しかし、ひとたび競争の図式から解放されれば誰かに勝つ必要がなくなります。「負けるかもしれない」という恐怖からも解放されます。

他者の幸せを心から祝福できるようになるし、他者の幸せのために積極的な貢献ができるようになるでしょう。
その人が困難に陥った時、いつでも援助しようと思える他者。それはあなたにとって仲間と呼ぶべき存在です。

大切なのはここからです。「人々はわたしの仲間なのだ」と実感できていれば、世界の見え方はまったく違ったものになります。

世界を危険な場所だと思うこともなく、不要な猜疑心にかられることもなく、世界は安全で快適な場所に映ります。対人恐怖症や社交不安障害を克服したい人も対人関係の悩みだって激減するでしょう。

※参考文献:嫌われる勇気 岸見一郎著

 

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