人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである

孤独を感じる人は、あなたがひとりだからではありません。
あなたを取り巻く、他者、社会、共同体があり、そこから疎外されていると実感するからこそ、孤独なのです。

我々は孤独を感じるのにも、他者を必要とします。
すなわち人は、社会的な文脈においてのみ、「個人」になるのです。

例えば、宇宙の中にたった一人で存在したら、孤独という概念すら出てこないでしょう。
言葉も必要ありませんし、倫理も、コモンセンス(共通感覚)も必要なくなります。

ですが、そんなことはありえません。

たとえ無人島に暮らしていたとしても、遠い海の向こうにいる誰かを考えます。

ひとりきりの夜であっても、誰かの寝息に耳を澄ます。

どこかに誰かがいる限り孤独は襲ってきます。

心理学者のアドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言しています。

もし、この世界から対人関係がなくなってしまえば、それこそ宇宙のなかにただ一人で、他者がいなくなれば、あらゆる悩みは消え去ってしまうでしょう。

もちろん、対人関係を消してしまうことなどできません。
人間はその本質において他者の存在を前提としています。

そして個人だけで完結する悩み、いわゆる内面の悩みなどというものは存在しません。
どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が介在します。