傲慢の心理学

傲慢な人間と言うのは、心の底で自分を軽蔑している。

他人を見下しているようであるが、実は心の底で自分を見下しているのである。

傲慢な人間は、自分は卑劣でな人間であることを、無意識において知っている。

自分はどんな人間であるかということについて、卑劣な、馬鹿げた人間であると感じている。

そして、その感じ方を彼は抑圧している。

したがって、日頃、権力や財産を背景にして傲慢にふるまってる人間が、たったひとりぼっちになった時は、不安げな、頼りない存在になってしまうのである。
傲慢な人間が自分を守る力を失った時は、一変して、他人に、恥も外聞もなく哀れみを乞う、なさけない存在になってしまう。

傲慢な人間を上司にもったり、家主にもったりするとたまらない。徹底的にいじめられる。

彼は他人に対して尊大に振る舞うことで、心の底にある低い自己評価が変わると思っている。

対人恐怖症、社交不安障害の人は他人に傲慢になり、他人をけいべつすることで自分に対する低い評価の感情から眼をそらせようとしてるのである。

しかし、眼をそらすことはできても、低い自己評価そのものは変わることはない。

ハロルド・ラスウェルというアメリカの政治学者が「権力とパーソナリティ」という本を書いている。

その中で彼は、傲慢について、なぜ人が傲慢になるのかという起源をたずねていくと、やはり、自分をどう思っているかということにつきあたると述べている。

つまり、傲慢な人は、自分をはずべきものと思っているというのである。

このラスウェルの名文と、「甘えの構造」の次の部分をあわせ読んでみると、大変興味深いことが分かろう。

「身内にべたべた甘える者に限って、他人に対しては傍若無人・冷酷無比の態度に出ることが多いように観察される」

対人恐怖症、社交不安障害の人達の甘えの基礎にあるものは、低い自己評価なのである。

対人恐怖症、社交不安障害を克服したい人は自分自身を尊敬するようにという。

すると時々、それを傲慢になることと勘違いする人がいる。

しかし、これは全く逆である。

心の底で自分を尊敬している人は決して傲慢にならない。

※参考文献:自分を嫌うな 加藤諦三著

 

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