ADHDは多動、衝動性、不注意を特徴とする、神経発達障害の一つである。

一割ほどは、大人になったときに、反社会性パーソナリティ障害に移行するともいわれてきたが、ADHDが反社会性パーソナリティ障害に移行するというよりも、虐待やネグレクトなどによる愛着障害と重なるときに、反社会性のリスクが高まると考えた方が良いだろう。

むしろ多くのADHDは大人になるまでに改善する一方で、近年では、青年期以降に発症するADHDが、大人のADHDの中心を占めるとされる。

つまり、大人のADHDの多くは、発達障害ではなく、青年期以降に発症する別の障害の可能性が高くなっているのだ。

その実体は、気分障害や不安障害、依存症、PTSD、パーソナリティ障害などにより生じた不注意を、ADHDと誤診したものであったり、児童期の虐待などによる愛着障害の影響によるものではないかと考えられている。

後者の場合には、気分や情緒の問題や自己否定などを伴いやすく、境界性パーソナリティ障害の傾向を帯びることもある。

ADHDと脱抑制型の愛着障害は、行動パターンが非常に似ている。

どちらも、興味のあるものにすぐ引き寄せられ、躊躇なく接近する。

上の空でぼんやりすることが多く、思ったことをすぐ口にしたり行動に移したりする。

対人関係においても、目移りしやすく、熱しやすく冷めやすいところがある。

そのため、脱抑制型愛着障害は、ほとんどのケースでADHDと誤診されていることが多い。

多動、衝動性、不注意という症状だけでは、見分けが付かないのである。

脱抑制型愛着障害は、幼い頃に親との離別や愛情不足などを味わったという背景があるのが決定的な違いであり、また、どこか可愛らしさがあり、愛情や関心を求める愛着行動が激しいのに対して、ADHDの場合には、そうした特徴がみられず、どちらかと言えば反抗的な憎まれっ子になりやすい。

そうした点に気をつけて見分ける必要がある。

また、成人の場合には、多動、衝動性、不注意というADHDの特性にばかり目を向けるよりも、気分や情緒の問題、依存性の問題、愛着スタイルや演技性、自己愛性、反社会性、境界性などのパーソナリティの傾向、過去の虐待やネグレクトに着目した方が、その人が抱えている課題を的確に把握できるだろう。

※参考文献:対人距離がわからない―どうしてあの人はうまくいくのか― 岡田尊司著