人間は成長し、変わることのできる存在である。

しかし、容易に変われない存在でもある。

現状の自分というものにしがみついてしまうところもある。

どんなに不都合を抱えていようと、また、このままでは困ることになると頭ではわかっていても、とことん困り切るまで、現状を続けようとすることも少なくない。

自分で早く気がついて、生き方を変えられれば、それに越したことはないのだが、そんなふうにはなかなかいかないようだ。

どうにも変えざるを得ないような体験があって、初めて本気で変わろうと思い始め、回復のプロセスのスイッチが入ることが、むしろ多いのである。

とことん落ちて、心の底から何とかしたいと思うような土壇場まで追い詰められる体験が、重い課題を抱えた人ほど、必要なのかもしれない。

つまり、逆の見方をすれば、物事がうまくいかず、大ピンチだといえるときほど、抱えてきた課題を克服し、大きく成長するチャンスかもしれないということだ。

そしてそうした状態のときには、運命的な出会いが起きることも多い。

なぜなら、ピンチのときほど、人は救い手を必要としており、必要は発明の母だからである。

弱り切ったときほど、しっかりかかわれば、強い絆が生まれるチャンスにもなる。

本人にとっても、安定した愛着を取り戻し、本人を回復軌道に乗せるチャンスなのだ。

本人がピンチのときほど、しっかりかかわることである。

ただ、奈落に落ちた状態のときには、一つ間違えば、命を捨ててしまうかもしれない。

それは生きるか死ぬかのぎりぎりの状態である。

そこから立ち上がれるかどうかを左右するのは、自分からなんとかしようとする勇気をもてるかどうかかもしれない。