喪失体験のうち、あるものは他のものよりも強く否定的な力を及ぼします。

同じような体験でも、それが私たちにどのように影響し、どのくらい深刻に影響するかも、次のような要因で違ってきます。

・それが起こった年齢による違い。
年齢が小さいほど傷つけられやすい。

・不名誉な評判がともなうかどうかの違い。社会から否定的な目で見られやすい体験は、より重大な影響を感情にもたらす。
たとえば、仕事中毒の家庭よりも、子どもに暴力をふるう家庭に育つことは不名誉とみなされやすい。

・外部のサポートが存在するかどうかの違い。
祖父母など親戚とのつながり、友人の家族とのつながり、学校での課外活動など、家庭の外で子どもの自己否定感を軽減してくれるような人間関係や活動に出会えるかどうか。

・喪失が積み重なることによる影響。たとえば親が依存症でしかも子どもを殴る場合、どちらかひとつのときに比べてトラウマは深刻になる。

ここまで読んできて、たぶんあなたは「確かにそうだけれど、でも・・・」とつぶやき始めているのではないでしょうか。

「でも、父は悪いところばかりじゃなかった。
親として、いいところだってあった」「でも、母が教えてくれたことだってあるし・・・」というぐあいに。

成長の時期にどんな喪失や痛みを経験していても、同時に親から与えられたものだってあるでしょう。

それは大切にすべき贈り物です。

また、子ども時代の生活の中で次に何が起きるかを少しでも予測しようとし、痛みから身を守ろうとしてきたことで、私たちは物事に対処していく術をみがき、それは豊かな資質にもなってきたのです。

人生に痛みをもたらす出来事が起こったからといって、私たちが親から与えられた贈り物や、自分自身で身につけてきた強さは少しも損なわれることはありません。

とはいえ、自分の強さを強調しようとするあまり、痛みを大したものではないように扱って「話すな」のルールをよみがえらせることがないよう、注意が必要です。

自分の中の喪失を認め、痛みとまっすぐ向き合うことをしない限り、それが引き起こす感情は、しばしば水面下で、おとなとしての私たちに影響を及ぼし続けます。