痛みに対する感情の反応がどのようなものであれ、私たちはもう少し楽になれることを期待して、別の方法で痛みをコントロールしてみようとするものです。

その方法のひとつが、何かに依存することによる「自己治療」です。

けれど残念なことに、そうした努力は、つらい感情の原因や背景を取り去ってはくれません。

アダルトチルドレンのアルコールなどへの依存

依存の対象となる物質には、食べ物、カフェイン、ニコチン、砂糖、アルコール、ドラッグなどがあります。

そのうちの多くは、社会的に認められ、よいとされているために、自分がどれぐらい不健康な方法でこうした物質を使っているかに気づくのが難しいのです。

こうした物質は一時的に痛みをコントロールしてくれるだけでなく、私たちが自然な形で手に入れる方法を知らなかった何かを、しばしば与えてくれます。

たとえばアルコールは、自分が無力だと思い込んでいる人に力の感覚を与えてくれるでしょう。

勇気が出て、普段は欠けているはずの自信が湧いてきたような感じがするものです。

これは間違いなく薬物の効果で、一時的なニセモノの感覚ですが、多くの人にとってはニセモノでもなよりましなのです。

孤独で人と交われないと感じている人にとって、アルコールは周囲の人に近づきやすくしてくれます。

つまり自分が満ち足りて完璧だと感じるための強壮剤となるのです。

遊んだり笑ったりするための時間などない深刻な人生を生きていて、「私にはやらなければいけないことがたくさんある」と考えている人にとっては、アルコールはリラックスする機会を与えてくれます。

アダルトチルドレンを抱えていたアリスは長いこと人の世話ばかりして生きてきて、毎日やるべきことを数え上げ、自分がそれをしなかったらこの世界は回らないと考えていました。

そしてニ十六歳で初めてアルコールと出会ったのです。

「どうして飲み始めたのかわかりません。

最初の何回か、自分が他の人達と笑い声をあげるのを聞きながら、なんだかボーっとしているみたいとおもったのは覚えています。

自分をなくしたみたいで怖かった。

でも、素敵な感じもしました。

今まで自分でもきづかなかった自分、知ってみるとなかなか悪くないもう一人の自分がいるみたいで。

アルコールでリラックスすることに、どんどん惹かれていきました。

飲むとこんなふうに考えたのを覚えています。

『なにも、今夜このことを決めなくたっていい』
『これを私一人でやる必要はないじゃないの』。

すぐにこんな考えになります。

『第一、私がやる必要なんて全然ないわ』。

私は楽しくなりました。

すっかりリラックスしていました。

物事を手放すというアダルトチルドレンを抱えているアリスの新しいやり方や、彼女が少しばかり柔軟になったことには害はありませんが、アルコール抜きでリラックスする方法をしらなかったために、結局は酒に頼ることになりました。

アダルトチルドレンのアリスは、他の多くの人と同じように満ち足りた気分になりたかっただけなのですが、彼女が少しでもそれを味わえたのは「酔った勢い」を借りてだったのです。

このシナリオを少し変えれば、他のものへの依存の話になります。

特定の食べ物へのこだわりや、食べる量へのこだわり、拒食、そして吐いたり下剤を使うことは、力とコントロールを求めての内面の格闘といえるでしょう。

自分を飢餓状態におくこと、吐くこと、そして強迫的な過食は、怒りを自分へと向けているのかもしれません。

悪い自分を罰している場合もあります。

拒食は文字通り、自己否定感への反応として自分を消そうとする行動ともいえます。

そして拒食も過食も完璧を追い求める行為でもあります。