ネガティブな態度や厄介者扱い

不安定型の愛着スタイルを生む重要な要因の一つは、親から否定的な扱いや評価を受けて育つことである。

子どもが人並みより抜きんでた能力や長所をもっていても、親はその子を否定的に育てるということがある。

まったく厄介者扱いすることさえある。

その典型的例は、愛着障害だった太宰治のケースであろう。

彼が遺した有名な一句、「生まれて、すみません」は、愛着障害の彼の心の本質を、もっとも端的に表した言葉だと言えるだろう。

愛着障害の太宰は幼い頃から、親に認めてもらえないという感覚を抱いていた。

それは、愛着障害の太宰の錯覚でも思い込みでもなかった。

実際、両親は、愛着障害だった太宰の誕生をあまり喜ばなかったのである。

愛着障害の太宰も、愛着障害だった漱石と同様、母親が年をとってからの子どもだった。

母親は、こんな年で産んで恥ずかしいという気持ちもあって、息子のことをあまり可愛がらず、乳母に預けたり、女中に面倒をみさせたりということが、自然に多くなったのである。

そうした母親の気分は父親にも伝染し、父親は何かと愛着障害だった太宰に対して批判的、否定的であった。

それは、愛着障害の彼が心中未遂を起こすなど、新聞沙汰になって親の顔に泥を塗るずっと以前の、彼が小学生だったころからみられた傾向であった。

親から否定的な評価しかされなかった子どもが、親をもっと困らせるようなことをしてそれを実現することは、よくあることだが、こうしたことは、愛着障害のケースでは頻繁にみられると言ってよい。

否定的な扱いを受けて育った人は、どんなに優れたものをもっていても、自己否定の気持ちを抱えやすくなる。