子どもの四つの愛着パターン

これまで述べてきた、愛着に影響するいくつかの要素、すなわち、愛着が安全基地としてうまく機能しているか、ストレスに対してどういう愛着行動を示すか、によって、子どもの愛着のパターンはおおむね四つに分かれる。

その四つを知っておくことは、大人の愛着スタイルを理解するうえでも非常に役立つ。

子どもの愛着パターンを調べるのに、よく用いられるのは、エインワースが開発した新奇場面法である。

この方法では、こどもと母親を離し、また再会させるという場面設定をして、そのときの子どもの反応を観察することで、愛着のパターンを分類する。

エインワースは、「安定型」「回避型」「抵抗/両価型」の三つに分類したが、その後メインとソロモンによって「混乱型」が加えられ、合計四つのパターンに分類されることが多い。

安定型以外の三つのタイプは不安型と呼ばれる。

安定型は、母親から離されると泣いたり不安を示したりするが、その程度は過剰というほどではなく、母親が現れると素直に再会を喜び、母親に抱かれようとする。

約六割強の子どもは、この愛着パターンを示す。

安定型では、母親が安全基地としてうまく機能しており、ストレスを感じた時に適度な愛着行動を起こしていると考えられる。

回避型では、母親から引き離されてもほとんど無反応で、また、母親と再会しても目を合わせず、自分から抱かれようともしない。

回避型は、安全基地をもたないため、ストレスを感じても、愛着行動を起こさないタイプだと言うこともできる。

この愛着パターンは、一割五分~二割の子どもに認められる。

小さい頃から児童養護施設などで育った子どもに典型的にみられるが、親の関心や世話が不足して放任になっている場合でもみられる。

回避型の子どもは、その後反抗や攻撃性の問題がみられやすい。

抵抗/両価型では、母親から離されると激しく泣いて強い不安を示すのに、母親が再び現れて抱こうとしても拒んだり嫌がったりする。

しかし、いったんくっつくと、なかなか離れようとしない。

母親の安全基地としての機能が十分でないために、愛着行動が過剰に引き起こされていると考えられる。

このタイプは一割程度に認められる。

親がかまってくれるときと無関心なときの差が大きい場合や、神経質で厳しく過干渉な親の場合が多い。

抵抗/両価型の子では、その後、不安障害になるリスクが高く、また、いじめなどの被害に遭いやすいとされる。

混乱型は、回避型と抵抗型が入り混じった、一貫性のない無秩序な行動パターンを示すのが特徴である。

まったく無反応かと思うと、激しく泣いたり怒りを表したりする。

また、肩を丸めるなど親からの攻撃を恐れているような反応をみせたり、逆に親を突然叩いたりすることもある。

混乱型は、虐待を受けている子や精神状態がひどく不安定な親の子どもにみられやすい。

安全基地が逆に危険な場所となることで、混乱を来していると考えられる

親の行動が予測不能であることが、子どもの行動を無秩序なものにしているのである。

混乱型の子どもでは、その後、境界性パーソナリティ障害になるリスクが高いとされる。