「あなたの行動を支配する愛着スタイル」

人の顔色をすごく気にしてしまい、気疲れしやすい。

「お前なんかいらない」と言われないか、いつも不安に思う。

対立したくないので、つい相手に合わせてしまう。

そういった対人関係に過敏な人は少なくないだろう。

一方、人と親しい関係になるのがわずらわしい。

結婚して縛られるのはイヤ。

仕事の付き合いはするけれど、それ以上の関わりはもちたくない。

このように対人関係が表面的で、深まりにくい人も増えている。

そうした対人関係のパターンを、知らず知らずに支配しているのが、その人の愛着スタイルだと考えられるようになっている。

愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響していることがわかってきた。

パーソナリティを形造る重要なベースとなっているのである。

愛着の研究は、まず子どもの愛着障害から始まったのだが、今では、大人においても愛着が果たす役割の重要性に注目が集まっている。

実際、安定した愛着スタイルをもつことは、

良好な対人関係に恵まれやすいだけでなく、家庭生活での幸福や社会生活での成功にも大きく関与しているのだ。

困ったことがあると、すぐ人に相談したり、助けを求めたりする人。

逆にどんなに困っていても、なかなか人にそのことを打ち明けたり、ましてや援助を頼むということが言い出せない人。

気軽に甘えたり、すぐ相手と親しくなれる人もいれば、何年顔を合わせていても、いっこうに距離が縮まらない人もいる。

こうした行動の違いを生み出しているのも、愛着スタイルなのである。

愛着スタイルは、他者とつながり、相手から慰めや支えを得ようとする行動面だけでなく、自分が助けや慰めを求めた時に、相手がどう応じるかについて、どんな期待をもち、どれだけそれを当てにしているかという心理的な面にも関係する。

親や配偶者さえ当てにならず、親しい人に助けを求めても傷つけられるだけだと思っている人と、親しい人はみんな自分のことを心配して助けてくれると信じている人とでは、当然行動も違ってくるし、その違いは、親しい人との関係だけでなく、対人関係全般に及ぶことになる。

安定した愛着スタイルの持ち主は、相手が助けになってくれると信じきっているので、実際にすぐに助けや慰めを求め、それを得ることができる。

しかし、愛着障害の人は、そんなことをすると拒絶されるのではないかと不安になって、助けを求めることをためらったり、最初から助けを求めようとはしなかったりする。

あるいは、助けを求めても、求め方がぎこちないため、相手を苛立たせてしまったり、肝心なことを切り出せなかったりして、結局、効果的に相手から助力を得ることができにくい。

その人の愛着スタイルというのは、母親との関わりを出発点として、その人にとって重要な他者との関係のなかで、長い年月をかけて培われていく。

子どもだけでなく、大人にもひそむ「愛着障害」を理解するためには、まず、愛着とはどういうもので、どのように形成されるのか、愛着に問題があると、まず子どものころ、どういう形で表れやすいのかを、一通り頭に入れておく必要がある。