本人と家族を別々に面接した方が良い―愛着とは一対一の関係

通常、家族療法と呼ばれるものでは、支援者は家族を一堂に集めて面接する。

そうすることによって家族内の力動が明らかとなり、またその力動をうまく使って家族を動かして行けると考えるのだ。

問題が軽く、家族内の亀裂がそれほど大きくない場合には、そうした手法が有効かもしれない。

しかし、愛着アプローチでは、前半の愛着安定化アプローチの段階においては、本人と家族は別々に面接するのが原則である。

その方が、支援者が本人としっかり関係を作ること、家族と関係を作ることに、それぞれ専念できるからである。

関係がまだ十分できていないうちに、一堂に会してしまうと、一方ばかりがしゃべって、もう一方が黙り込んでしまったり、支援者が一方の言い分ばかり肩入れしていると受け取られたりしがちだ。

支援者は三角関係を調整しているつもりでも、実際は、表面的に合わせているだけで、心の底ではどちらもが、自分をないがしろにされたとか、こちらの話を聞いてもらえなかったという不満を覚えやすい。

三者の関係を作ってしまうことが、そもそもハードルを上げてしまっているのだ。

だから、まずは一対一の関係から始めることが大事である。

というのも、愛着とはそもそも「一対一の関係」なのである。

安定した愛着が確立されて初めて、三角関係のような三者関係にも耐えられるようになる。

愛着障害の人は、一対一の二者関係で、すでに躓いている。

三者関係になると、それだけで疎外感や不安を覚えやすい。

顔色ばかり見て、本音も言えない。

愛着の安定化を図るには、きわめて難易度が高いセッティングなのである。

成功確率からいっても、まず一対一でかかわり、本人との間、家族との間に、別々に関係を築いていくことをお勧めする。

実際、この方法の方がはるかに容易であり、安定した関係を築きやすい。

十分に関係ができた上で、双方が会するというやり方が、効果的である。

その場合にも、通常の家族療法のように治療者が家族の間にいて、両者の間をとりもつという方法は、愛着の修復には不向きである。

当事者同士が向き合い、語り合う場に、治療者や支援者が立ち会うという形の方が、大きな変化を生みやすいし、治療者や支援者という介添え役なしでも自分たちで向き合える力をつけていくことになる。

繰り返すが、そもそも愛着とは「一対一で向き合う関係」なのである。

これは従来の家族カウンセリングの常識と大きく違う点である。