愛着の形成とは、特別に選ばれた人物との関係が、不動のものとして確立する過程だとも言える。

新生児のときから、すでに愛着の形成は始まっているが、まだそれは原初的な段階にある。

生後六か月くらいまでであれば、母親を少しづつ見分けられるようになってはいるものの、母親が他の人に変わっても、あまり大きな混乱は起きない。

新しい母親に速やかになじんでいく。

ただし、この段階でも、母親が交替すると、対人関係や社会性の発達に影響が及ぶこともわかっている。

結ばれ始めた愛着がダメージを受けると考えられる。

六か月を過ぎるころから、子どもは母親をはっきりと見分け始める。

ちょうど、人見知りが始まる頃だ。

それは、愛着が本格的に形成され始めたことを意味している。

生後六か月から一歳半くらいまでが、愛着形成にとって、もっとも重要な時期とされる。

この「臨界期」と呼ばれる時期を過ぎると、愛着形成はスムーズにはいかなくなる。

実際、二歳を過ぎて養子になった子が、養母になかなか懐こうとしないということはよくある。

また、臨界期に母親から離されたり、養育者が交替したりすると、愛着が傷を受けやすいのである。

愛着がスムーズに形成されるために大事なことは、十分なスキンシップとともに、母親が子どもの欲求を感じとる感受性をもち、それに速やかに応じる応答性を備えていることである。

子どもは、いつもそばで見守ってくれ、必要な助けを与えてくれる存在に対して、特別な結びつきをもつようになるのだ。

求められたら応えてくれるという関係が、愛着を育むうえでの基本なのである。

この時期、母親はできるだけ子どもの近くにいて、子どもが求めた時に、すぐに応じられる状態にあることが望ましい。