元アメリカ大統領のバラク・オバマは、子どもの頃から、誰にでも合わせられる「良い子」だったことが知られている。

愛着障害だった彼は学校でも、一度も問題を起こすことがなかった。

彼が自伝の中で、ドラッグやアルコールに依存した時期があったことを告白した時、もっとも驚いた一人は、彼の担任だった教師である。

愛着障害だった彼はそういう不安定で反社会的な面は、一切見せなかったからである。

愛着障害だった彼は、「良い子」や「優等生」を演じきったのである。

シングルマザーで、大学院にも通っていた母親は忙しく、彼にはあまりかまっていられなかった。

愛着障害だった彼の面倒をみたのは、ハワイでは祖父母だった。

母親が再婚して、インドネシアにいたとき、彼は見知らぬ人達の中で完全なエイリアンであり、疎外感を味わわずにはいられなかった。

しかし、愛着障害だった彼は母親にほとんど反抗することもなく、ひどく従順だった。

愛着障害だった彼の従属的戦略は、学校での境遇によってさらに強められた。

学校で、彼はつねに極め付きのマイノリティだった。

インドネシアの学校で外国人は彼だけだったし、ハワイの高校でもたった一人の黒人だった。

そうした中で、愛着障害の彼は周囲に適応するために、従属的戦略をとらざるを得なかったとも言える。

ビル・クリントン元アメリカ大統領は、母親に対してはとても従順であったが、それ以外の女性に対しては支配的で、うまく利用したり搾取しようとした。

母親に支配されて育った人の場合、母親には従順だが、思い通りになる存在をみつけると、その人を支配するという傾向がよくみられる。

それによって心のバランスをとっているとも言えるし、自分がされたように相手を扱うということを無意識のうちに行っているとも言える。

いずれにしても、そうすることが有害な面を持つ一方で、こころの安定には寄与しているのである。

誰に対しても従属的にふるまえば、やがて行き詰まりを生んでしまうからだ。

ただ、上司や顧客、配偶者から受ける支配によるストレスを、より弱い存在に対して発散するという構造になってはまずい。

しかも現代社会では、最後の受け皿になってくれる祖父母のような存在も身近にいなくなっている。