安全基地をもてば、行動や情緒の問題も落ち着く

悲しいことだが、安全基地をもたない子どもは、様々な場面で、安定した愛着に恵まれた子どもより行動や情緒の問題を呈しやすく、「悪い子」として叱られ、制裁を加えられやすい。

彼らの問題行動は、叱られることが足りなかったからだろうか。

もっと叱ってやれば、もっと「良い子」に育っていたのだろうか。

言うまでもなく、まったく逆である。

安全基地となる親との安定した愛着の中で成長することができた子どもは、自然に行動や情動をコントロールする術を身に付けやすいのである。

母親との愛着の絆がしっかりしている場合には、叱ったりしなくても、母親の声の調子一つで危険を察知し、自らの行動にブレーキをかけ、安全基地に帰還しようとする。

危険な行動は慎み、母親を不安がらせないようにする。

しかし同時に、母親が安心した笑顔で見守ってくれているときには、大胆な冒険をすることもできる。

叱ることは、最小限で十分である。

怒鳴ったり、叩いたりする必要はない。

子どもを必要以上に叱らねばならないとしたら、それは、さらに手前の愛着形成の段階で、問題が生じてしまった可能性が高いのである。

そのことをよく理解すれば、子どもにとっての安全基地となるだけで、筋金入りの非行少年さえ、劇的に落ち着いてしまうわけがわかるだろう。

問題行動や症状は、その子が抱える行動や情緒の問題によって起きているのではないのだ。

それは、ただ言葉を換えたに過ぎず、何の説明にもなっていない。

行動や情緒の問題は、愛着障害から生じているのであり、そこが変わるかどうかが、改善を決定していたのである。