愛着障害を克服するということは、一人の人間として自立するということである。

ここでいう自立とは、独立独歩で人に頼らないという意味ではない。

必要な時には人に頼ることができ、だからといって、相手に従属するのではなく、対等な人間関係をもつことができるということである。

自立のためには、周囲から自分の存在価値を認めてもらうということが必要になるし、それを得ることによって、自己有用感と自信をもち、人とのつながりのなかで自分の力を発揮することができる。

それが、自分の関心や嗜好と近いものであれば、いっそう幸福であろう。

つまり自立の過程とは、自分が周囲に認められ受け入れられる過程であり、同時に、そうした自分に対して、「これでいいんだ」と納得する過程でもある。

自立が成功するには、この両方のプロセスが、うまく絡み合いながら進んでいく必要がある。

どちらか一方だけでは成り立たないのである。

愛着障害の人が、その過程で躓きやすい理由は容易に理解できるだろう。

つまり、原点において、他者に受け入れられるということがうまくいかなかったのであり、同時に、自分を受け入れるということにも躓いたのである。

自分にとって重要な他者に受け入れられるプロセスをもう一度やり直すとともに、自分を受け入れられるようになることで、初めて愛着障害の傷跡から回復し、自分らしいアイデンティティを手に入れ、本当の意味での自立を達成することができるのである。

愛着障害は、夫婦関係の維持や子育てに影響しやすいという特性をもつ。

その結果、子どもにしわ寄せが来て、子ども自身の愛着の問題へとつながっていく可能性がある。

そんな負の連鎖を断つためにも、自分のところで愛着障害を克服することが重要になる。

愛着障害を克服した人は、特有のオーラや輝きを放っている。

その輝きは、悲しみを愛する喜びに変えてきたゆえの輝きであり強さに思える。

そこに至るまでは容易な道のりではないが、試みる価値の十分ある道のりなのである。