人は変わる力をもつ

人はそれぞれ過去の体験から来る縛りやとらわれを抱えている。

ことに、幼いころの愛され方や親との関係は、強力にその人の人生を縛り、左右する。

しかし、同時に、人は大きな可塑性や成長する力を持っている。

抱えている課題や制約と、そこから自由になり可能性を広げていこうとする力との戦いが、その人の生き様、人生が描く軌跡だともいえる。

それでは、その人が抱えている限界や制約を、どうすれば押し広げ、新たな地平へと飛躍させることができるのか。

愛着障害の克服は、まさにそうした課題だといえる。

愛着アプローチは、本人の安全基地を強化することで、本人の中に備わっている回復しようとする力を活性化させる方法だともいえる。

生きる意味さえ見失い、投げやりだった人も、何事にも自信がもてず、挑戦することから逃げていた人も、自分の中の問題を周囲の人に責任転嫁することで自分を紛らわしていた人も、愛着が安定するにつれ、自分の問題に向き合い、自分なりの答えを見出そうとし始める。

大それたものでなくても、どんなにささやかでも、自分の手と力で見出した、自分なりの生き方を進んでいこうとし始める。

そこから先は、本人を信じて、本人の進んでいく後をついていくように、一緒に進んでいけばいい。

もしも本人が駆け込んでくるようなことがあれば、いつでも相談できるように待ち構えてはいるが、本人の力で何とかなる間は、ただそっと見守り、ときどき報告してくれることに耳を傾ければいい。

ここから先は、本人が主役であり、本人の主体的な取り組みと努力によってしか進んでいくことのできない領域だ。

もちろん、困ったときや迷ったときには、安全基地となる存在のところにやってきて、その存在と対話をする中で、自分の答えを見つけようとするかもしれない。

しかし、最後の決断は本人が下すのであり、安全基地となる存在は、彼の悩みや迷いに付き合うだけである。