通常の対人関係においては、安定型の愛着スタイルの人どうしがパートナーになった方が、物事はうまく運びやすい。

逆に、不安定型の愛着スタイルの人同士が関わりあうと、些細なことから大きなトラブルになり、状況が混迷しやすい。

不安定型の人同士よりも、どちらか一方が安定型である方が、関係の安定性は格段に上がることが多い。

大学生のカップルを対象にした研究によると、安定型と不安定型のカップルは、安定型どうしのカップルの場合と遜色なくうまくいっていたのである。

それに対して、不安定型どうしの組み合わせでは、揉めることが多く、うまくいっていない傾向がみられた。

安定型の人は、不安定型の人を安定させる働きがあるのである。

『風と共に去りぬ』を書いたマーガレット・ミッチェルは、不安定型愛着を抱えた女性だった。

魅力的だが、同じように不安定型愛着の男性と結婚したが、たちまちけんか別れに終わった。

その苦い失敗の後、再婚した相手は、以前からマーガレットのことを愛していた新聞記者のジョン・ミッチェルだった。

ジョンは父親を早く亡くし、苦学して新聞記者になった人物だが、母親の愛情を一身に受けて育ったため、不安定なところはみじんもなく、誠実で実直な安定型の愛着スタイルの持ち主だった。

気まぐれなマーガレットに振り回されることもあったが、ジョンは彼女に常に変わらぬ愛情を注ぎ続けた。

そんなジョンと結ばれたことで、マーガレットは次第に安定していった。

ジョンの助力があってからこそ、大長編小説『風と共に去りぬ』を書き上げ、大成功を得ることもできたのである。

しかし、マーガレットは成功しても、昔と違って派手さや目立つことを好まなくなり、むしろ家庭生活を大事にしたのである。

ジョンも父親を喪うという体験をしているので、愛着の問題にまったくの無縁とは言い切れない。

だが、自分自身、愛着の傷を克服した経験が、マーガレットの愛着不安をうけとめ、適切な支えを与えることにつながったのではないだろうか。

エリクソンの行った治療が有効に機能したのも、その点が重要だったように思える。

エリクソン自身が愛着障害を抱え、それを克服しようとして、苦悩しながら模索してきたことが、同じような困難を抱える者の支援に役立ったのである。

実際、不安定型の人を支えようと頑張るのは、しばしば同じ不安定型愛着の人であることが多い。

その気持ちや苦しさがわかるからだ。

しかし、どちらもが不安定すぎると、支える方も巻き込まれて、共倒れということになりかねない。

その気持ちや苦しさがわかるからだ。

しかしどちらもが不安定すぎると、支える方も巻き込まれて、共倒れということになりかねない。

結局、相手をうまく支え、回復へとつながっていくためには、支える方が、不安定型愛着をある程度克服していることが必要なのである。

偉大な指導者に、愛着障害を克服した人が多いのも、そこから来ているのだろう。

愛着障害という根源的な苦悩を乗り越えた存在は、人を癒やし、救う不思議な力をもっているのかもしれない。

エリクソンの場合もそうだが、必ずしも、「克服した」という完了形である必要はない。

克服の途上にあるがゆえに、いっそう救う力をもつということもあるのではないか。

もっといえば、その人自身、自らの愛着の傷を癒やすためにも、人を癒やすことが必要なのだ。

その過程を通じて、癒やす側も癒される側も、愛着障害に打ち克っていけるはずだ。

なぜなら愛着障害とは、人が人をいたわり、世話をし、愛情をかけることにおける躓きだからだ。