「養育環境の関与が大きい」

不安型愛着を含む、広義の愛着障害を生み出す要因は何か。

これまで行われた双生児研究や養子研究の結果は、愛着障害の要因が、主として教育環境によるものであることを示している。

おおむね、七、八割が養育などの環境的要因によるとされ、残りのニ、三割が遺伝的要因によると考えられている。

たとえば、就学前の双生児(平均年齢三歳七カ月)を対象にした研究によると、一卵性のきょうだいで、両方が不安定型愛着を示す一致率は70%、二卵性のきょうだいの一致率が64%で、この結果から環境要因の影響は85%と計測された。

年齢がもっと高くなり、青年からヤングアダルトになっても、幼い頃の愛着パターンを示す傾向がみられる。

米アイオワ大学のキャスパーズらが行った研究では、同じ教育者に育てられた実子と、養子として育てられた血のつながりのない子どもとで、どの程度愛着パターンが一致するかが調べられた。

結果は、被験者の平均年齢が38歳という中年期にさしかかりつつある年齢においても、両者の一致率は60%という高い値を示し、一卵性双生児で示された結果と比べても、あまり遜色がなかった。

またキャスパーズらは、養子に出された子の実の親がアルコール依存や反社会的な問題を抱えていたケースで、愛着パターンに影響が出るかどうかも調べているが、影響は認められなかった。

これらの結果をみると、愛着スタイルについては、遺伝的要因より養育者を含む養育環境の影響が大きく、しかも生涯にわたってその影響が持続するということがわかる。

これまで行われた研究では、不安定型愛着に遺伝的要因が関与する割合は0.2~0.25以下と、かなり低いものと考えられている。

発達障害が0.7~0.9、パーソナリティ障害でも0.5~0.6とされていることを考えると、愛着障害は環境要因が非常に大きいと言える。