感情に振り回されないとは

大切なのは人間関係や愛情問題

自分を大切にする心理では「自分の感情に気付いて、それを基準にしましょう」ということを提唱しています。

それでも、「感情を基準に?感情なんて厄介だよ。自分の感情に気付けば、辛くなるだけだ。

無視していられるんだったら、無視してるに限るさ。

そんな小さなことでクヨクヨ悩んでいてもしかたないしね。

第一、感情なんて、仕事をする上では何の役にも立たないし、むしろ邪魔だよ

というふうに”感情”が関係するのは人間関係や愛情問題であって、仕事での問題解決能力や仕事を成功させるための能力、あるいは仕事をする上での判断力や決断力、俯瞰能力、統合能力といったものには”関係ない”と思っている人が少なくないのではないでしょうか。

ところが、そうではないのです。

人間の心は、そんなに雑でも不完全でもない

人は感情で動いています。

マイナスの感情が起こると、それを解消したいと願います。

解消されないと、感情をいつまでも引きずってしまいます。

感情をやり過ごせば、知らぬ間に消えてしまうだろうと思っている人もいるかもしれませんが、そうではないのです。

人間の心は、そんなに雑でも不完全でもありません

なにしろ、感情をもつ私たちに備わっているさまざまな機能は、コンピューター以上に精密だからです。

例えば、どうしてあなたは”あの人”のことが気になってしかたがないのでしょう。

どうしてあなたは”あの人”のことが忘れられないのでしょうか。

それは、その相手と、なんらかの障害や問題があって、それを未だ、解消できていないからではないでしょうか。

あるいは、家庭や職場で、日々、マイナス感情を生み出しては、それを蓄積させている人もいます。

あなたが家庭や職場で、一つのことに集中できないのはどうしてでしょうか。

それは別のことが気になっているからですね。

「仕事に、感情は関係ない」

確かに、今あなたが取り組んでいる仕事には、直接、感情が関係しているわけではないでしょう。

けれども今、あなたがその仕事に集中できないとしたら、それはどうしてでしょうか。

ミスを繰り返したり、注意散漫だったり、やる気が出てこなかったりするあなたがいるとしたら、どうしてでしょうか。

それは感情的に気になることがあるからですね。

目標の方向は定まっているか

こんなふうに、今、取り組んでいる仕事に感情は直接関係がないとしても、自分の中に解消できていない感情があると、それがあなたの集中力を妨げてしまうのです。

さらにまた無意識の領域でいうと、あなたの中に何らかの強い罪悪感があると、無自覚に自分を罰するほうへと動いてしまうため、物事がうまく進まないということもあります。

あるいは過去に負った心の痛みが深く大きければ、無意識に、自分の感情を傷つけてでも仕返しや復讐を”目標”にしてしまう場合もあります。

無視されるのが辛かったり孤独になるのが怖くて、周囲の注目を浴びようと奇抜な行動をとったり、さまざまなトラブルを起こす人もいます。

自分のことに集中できずに、「職場で、人が私の傍にいると、それだけでイライラしてきます」

「街を歩いているだけで、すれ違う人を怖いと感じている自分に、最近気づきました」

「自分と違うやり方をしている人を見ると、自分とは関係ないのに、腹が立ってくるんです」

などと、感情が解消されていないと、自分自身は気づかなくても、さまざまな場面で、それが頭をもたげて集中力を欠いたり、能力を発揮できない状態へと陥っていくのです。

とりわけ”恐れ”という感情は、これまで述べてきたように、放っておくとドンドン肥大化していきます。

恐れは、あなたの心を縮こませるだけでなく、身を竦ませて行動を阻み、未来への可能性を閉ざしてしまいます。

だからこそ、その時々の感情に気付いて、早めにマイナス感情を解消したり、心の痛みの手当てをしてあげる必要があるのです。

自分を大切にして感情に振り回されない

行動するのが怖い

もしあなたが、「嫌な人が職場に存在するだけで気になって、仕事に集中できません」という問題を抱えているとしたら、「好きな人がいて、ずっと片想いで苦しんでいます」

といったことでも感情的に悩むかもしれません。

「えっ?でも、嫌いと好きとでは、正反対ですよ」

好きであっても嫌いであっても、感情の根っこは一緒です。

どうして、そんな問題を抱えてしまうのか。

それは、根っこに「怖い」という感情があるからです。

もちろん感情的に好きな人に、嫌われるのは怖い。

嫌いな人は、さらに感情が傷つくのが怖いというふうに、”怖い”の種類は違います。

ですが、直面している課題に対して「行動するのが怖い」という点で共通しています。

この「行動するのが怖い」という感情は、相手を否定的に想定したために生まれた副次的な感情です。

この副次的に生まれた「行動するのが怖い」という恐れが、好きという感情、嫌いという感情のどちらにおいても、”自分の本当の感情と向き合う”のを妨げています。

自分の感情と向き合うことができなければ、自分の感情を大事にすることができません。

自分の感情を放置すれば、自分の感情を解消することもできません。

感情を解消できなければ、それが蓄積されて、人間関係だけでなく、さまざまな場面に影響が出てくるでしょう。

感情的なトラブルが発端で国と国が戦争になることもあるように、感情は歴史をも動かすのです。

自分を優先する練習

では、自分の感情と向き合うには、どうすればいいでしょうか。

それには「私を優先する」練習をすることです。

この一文を読んだだけで、即座に、罪悪感の感情が起こった人はいませんか?

そんなこと「できっこない!」と、感情を爆発させるようなイメージを抱いて、怒りとも恐怖ともつかない反応をした人はいませんか?

そういう感情的な人ほど、自分を優先してこなかった人たちなのです。

そんな人たちは、感情的な自分を「優先してはいけない」と信じ込んでいます。

成長過程で、それが”支配や依存の表れ”だと気づかずに、思い込まされてしまっているのです。

そのために、もし相手を差し置いて自分を優先すると、罪悪感を覚えるでしょう。

もちろんこれは”無用の罪悪感”です。

もし、そんな”無用の罪悪感”に苦しんでいるとしたら、そんな人ほど「私を優先する」練習が必要です。

例えば、主婦であれば、買い物に行ったとき、つい子どもや家族のことを優先して、自分の欲しいものは後回しにしたり、「今度でいいや」と諦めてしまいがちです。

そんな自分の感情に気付いたら、「まず、私の好きな食べ物を、一番先にカートに入れよう」を実行しましょう。

そのとき、罪悪感の感情を覚えたら、繰り返し実行することで、その罪悪感が軽くなっていきます。

それをしっかりと見届けることです。

これで、一つの「小さな罪悪感」という感情が消えたことになります。

ほかにも、「自分の独立した部屋を確保しよう」それができなければ、「この小さな空間は、私が独占して誰にも触らせない」でもいいでしょう。

「自分のお小遣いは、毎月しっかりと確保しよう」「自分の取り分は、最初にしっかりと確保して自分を安心させよう」「したくないので、今日は、終わりにしよう」「自分のために、お金を遣おう」「自分のために、断ってみよう」こんなふうに、自分ができるところ、取り組みやすいところから「自分を優先する」練習をすることです。

このときの重要なポイントは、それを継続させていくプロセスで、自分の中にある罪悪感が「少しずつ減っていく」状態を、自覚して見届け、それを”実感する”ことです。

この”実感”が今の罪悪感という感情を解消すると同時に、蓄積された過去の罪悪感をも溶かしていってくれるのです。

私を愛するために行動する

自分を優先することが大事なのは、わかりました。

でも、好きな人や嫌いな人に言うのが怖いという感情と、どう関係があるのですか?」とあなたが疑問に思うように、「私を優先する」と「行動するのが怖い」ということの二点が、まだ、頭で結びつかない人がほとんどかもしれません。

では、本題に戻りましょう。

こんな練習を続けることで、「好きな相手に嫌われるのが怖い」「嫌いな相手だけれども、争って傷つくのが怖い」といった恐怖よりも、自分の気持ちや感情のほうに焦点が当たるようになります。

自分の感情を基準にし続ければ、自分を大切に扱いたい、つまり「私を愛したい」という欲求のほうが優ってきます。

「私を愛したい」という欲求が優ると、それがだんだん大きくなっていきます。

こんな自分になってようやく、相手への恐れの感情よりも、「私を愛するために行動しよう」という勇気が育っていくのです。

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感情に振り回されない傷つかない

一人になることが怖い

自分たちの関係を客観的な目で見れば、「もう一緒にやっていくのは無理だから、別れたほうがいい」とわかっていながら、なかなか別れられないケースも少なくありません。

家族や夫婦の場合、どんなに感情的にも破綻していても、年月をかけて築いてきた家族関係を一気に崩してしまうのは、なかなか踏ん切りがつかないものです。

夫婦の場合、自分に経済力がなければいっそう、別れた後、「どうやって生活していけばいいんだろうか」

などと、生活の基盤が崩壊してしまう不安や恐れの感情が真っ先に頭をかすめるでしょう。

一人になる寂しさや怖さの感情も襲ってくるでしょう。

争いながらも、あるいはすでにその関係が形骸化していても、誰かがいたほうがいいと思ってしまうほど、私たちの中には孤独という感情に耐えられない恐怖心があるのです。

なかなか別れられない

けれども”なかなか別れられない”のは、それだけが原因ではありません。

こんな例があります。

彼女は昨日、車で迎えに行くよと言っていた恋人に、すっぽかされてしまいました。

過去にも、たびたび同じようなことがありました。

彼女は、約束の時間になっても来ない恋人を、イライラの感情を募らせながらまちました。

このとき彼女の感情は、傷ついています。

恋人に電話をしたのですが、出ません。

10分経ち、20分経ち、1時間経ちました。

彼女の感情は待つことで、さらに傷つきます。

ようやく恋人と連絡がつきました。

すると恋人は、「えっ、今、酒飲んじゃったから、無理だよ」

恋人は彼女との約束の時間の少し前、友人と会っていて、一緒にお酒を飲んでしまったのだと言います。

恋人の理由を聞いて、さらに彼女の感情は失望し傷つきます。

「今から、電車で行くから、待っててよ」

彼女は、さらに彼が来るまで待ちます。

けれども彼女の感情は、そうやって待つことで、いっそう傷つくことになるでしょう。

自分の心をつぶさに見ていくと、こんな「小さな場面」でも、彼女の感情は何回も傷ついています。

ようやく彼がやってきました。

あなたは彼を見るなり、「どうして、あなたは、いつもいつもそうなのよ。何度、私をバカにすれば気が済むのよ」

などと感情的に怒って彼を責めたとします。

その後は、いつも通りの感情に任せた言い争いです。

あるいは腹を立てた感情のまま、何日も口を利かない状態が続きます。

もしあなたがこんな「彼女と彼」の関係だったとしたら、どうすれば、感情は傷つかないで済むでしょうか。

「わかりません。言えば言うほど、争って傷ついていく気がするんです」
とあなたが言うように、相手を責めれば責めるほど、感情は傷ついていきます。

それでもあなたは、責めずにはいられないでしょう。

何度も何度も傷ついている

感情が傷つくとわかっていながら、どうして言わずにはいられないのでしょうか。

それは、感情が傷ついた自分の心を癒したいからです。

傷ついた感情を解消したいからです。

ところがあなたは、そう望みながらも、解消する術を知りません。

それどころか、言えば言うほど感情は傷ついていきます。

だからもっと、言いたくなるという悪循環です。

こんなふうに、傷ついていけばいくほど、さまざまな感情が渦巻き、それが解消できないゆえに相手にこだわり、さらに離れられなくなっていくのです。

つまり、あなたが相手との関係で「何度も何度も感情が傷ついている」からなのです。

しかもそうやって感情が傷つけば傷つくほど、相手に囚われて、離れられなくなっていきます。

そのために、争いながらもいっそう「他者中心」になって相手にこだわり、ますます別れるのが怖くなっていくのです。

そんな感情的な依存心を「愛している」と勘違いしている人がいるかもしれません。