不安定型愛着の要因として、近年注目されているのは、こどもが幼いころに、母親がうつになるなどして、母親としての役割を果たせなくなることである。

うつだけでなく、境界性パーソナリティ障害や双極性障害、アルコール・薬物依存症、統合失調症などの精神疾患では、愛着に影響が生じやすい。

出産前後、うつを経験する女性の割合は三割程度とされ、そのうち半数は「うつ病」と診断されるレベルである。

また、子どもが0歳から12歳までの間に、母親の四割がうつを経験するとも言われる。

このように、うつは非常に頻度の高い身近な疾患である上に、ちょうど愛着形成が行われる重要な時期にかかりやすいという状況を考えると、不安型愛着の要因として非常に重要だということがわかる。

母親のうつが重要視されるもう一つの理由は、虐待やネグレクトが起きる一つのリスク・ファクターであるという実態が明らかになったことがある。

うつによって心の余裕をなくし、生活がうまく管理できないという実際的な理由とともに、うつになりやすい人では、完璧主義や潔癖症、強すぎる義務感といった性格傾向を備えていることが多く、そうした性格と結びついた行動様式が虐待を誘発しやすいと考えられている。