この「愛着アプローチ」が優れている点は、症状や問題の種類に関係なく、ほとんどの状態の改善に有効だということである。

もちろん、最も効果を発揮するのは、愛着障害の問題がダイレクトにかかわっているようなケースであるが、愛着障害とは直接関係のないように見える問題、たとえば、不登校やネットゲーム依存、引きこもりや不安障害、心身症やストレス障害、強迫性障害や統合失調症のような精神疾患、先天的要因の強い発達障害や知的障害のケースでも、安全基地を強化し、愛着障害から愛着を安定化させることによって、多くの問題が改善に向かうのである。

それほど愛着というものが、安心感や健康の土台となっているということであろうし、オキシトン・システムが、生存や身心の安定に関わっているということであろう。

医学モデルでは、「病気→症状」、つまり「病気が症状を引き起こしている」という前提に立っている。

そこから「症状→病気の診断→治療→症状改善」という治療モデルが成り立つわけである。

いっぽう、愛着モデルでは「愛着へのダメージ→不安定な愛着→ストレス耐性・適応力の低下→症状出現」というメカニズムを想定している。

それゆえ回復モデルも、医学モデルの場合とは異なり、「不安定な愛着→愛着関係への注目→愛着の安定化→ストレス耐性・適応力の改善→より高いレベルの適応」という流れで回復を図る。

ここで、注目してほしいのは、愛着モデルにおける回復のゴールは、症状の改善ではなく、より高いレベルの適応、言い換えると、「その人本来の生き方を獲得すること」にあるということだ。

症状は、それに伴って自然に消退していく。

愛着モデルにおいては、症状が何かということはあまり重要ではない。

むしろ、症状にとらわれ過ぎると、起きていることの本質的な意味を見誤ると考える。

さまざまな症状や問題行動の根底にある愛着の問題を見据え、そこに働きかけをおこなうという考え方である。