自分の好きなもの、得意なもの、たとえ他の人から見たらつまらないことでも、これが自分の喜びだと感じるもの、こうした自己価値による行動をしていると、行動から心へと自然に変化が起きてきます。

自己価値による行動、それはいままでの悪循環が好循環に変わるからです。

いままでは、自己価値を軽くみた次のような悪循環でした。

好きでないこと・得意でないことをやってきた。→だから熱中できなかった。→だから力がつかなかった。→だから自信が持てなかった。→だから人の目が気になった→だから消極的・防衛的になっていた。→だから安心が得られなかった。→自己価値の低下

ところが、自己価値を追求する行動をしていると、次のような好循環へと変化していきます。

好きなこと・得意なことをしている。→だから熱中できる。→だから力がつく→だから自信がつく。→だから人の目が気にならない。→だから積極的・開放的になれる。→だから喜びと安心感にみたされる。→自己価値が育まれる

この好循環により生じる変化を、少していねいに見ておきましょう。

1.自己価値の高まりは結果よりも成長過程を楽しめるようになる。

これまでは、ものごとを専ら結果によって評価する傾向がありました。

ところが、自己価値を追求していくと、追求していることと自分とがぴったり重なり合っているという感じになります。

このために、力がついていくことをそのまま自分自身の価値ある成長と実感できます。

自分の力が伸びること自体が喜びになります。

結果として、なにかが得られなくとも満足できるようになります。

それが自己価値の高まりに繋がります。

一流のスポーツマンが、「結果は悪かったが、非常に満足している」と言うことがあります。

この感覚と同類のものだと思われます。

こうなると、生活の中の困難な出来事や仕事での困難な課題も、自己実現の教材として楽しむことができるようになりますし自己価値の高まりにも繋がります。

2.自己価値の高まりは実際に力がついてくる。

好きなこと、得意なことをすれば、容易に力がついてきます。

また、自己価値の高まりへと繋がります。

脳内物質のドーパミンは、一般に意欲を引き起こす物質といわれていますが、このドーパミンは快感体験で分泌が増えます(米山公啓『自然治癒のミステリー』法研 一九九七)。

つまり、好きな快感が得られることをすれば、脳内物質も前進を後押ししてくれ、自己価値の高まりへと繋がります。

嫌いなことをして成功した人はいません。

苦手なことをやって成功した人はいません。

これらは自己価値の低下にもつながります。

やっていて楽しいことをすることで自己価値の高まりにもつながるです。

自己価値を高めるには楽しんですることです。

自己価値を高める為には好きなことであれば、多少の困難があっても乗り越えていけます。

好きなことをすれば力がつき自己価値が高まります。

こうした自己価値の高め方を孔子はすでに二千五百年も前に語っています。

「子曰く、之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」

すなわち、あることを知る人は、それが好きな人におよばない。

それが好きな人は、それを楽しんでいる人におよばないというのです。

3.自己価値を高めると自分に自信が持てるようになる。

好きなことをしていれば力がついてきて、自己価値が高まり、それが自分でも実感できるようになります。

自己価値が高まった為に、自分にもできるのだという自信がついてきます。

たとえいまだ実現されていなくとも、自己価値が高まれば、少しずつその実現にすすんでいるのだということで、自信が湧きます。

この自己価値の高まりによる自信はしだいに自我全体に広がっていきます。

何か一つのことに自信がついて、自己価値が高まり、それをきっかけに変わったという人は多くいます。

4.自己価値を高めると人の目が気にならなくなる

自己価値が高まり、自分に自信を持てば、自分を守ろうとする心は不必要になります。

自己価値が高まると、自分は不要な抑制を解いてくれ、しだいにありのままの自分が出せるようになります。

結果としての出来・不出来でなく、自己価値が高まると、自分のうちにつくられる力が喜びを与えるのですから、他の人がどう思うかなど気にならなくなります。

自己価値が実感できるので、人とくらべて自分を卑下してしまうこともなくなります。

自己価値が高まると、ありのままの自分を出し、ありのままの相手を見ることができるようになり、余裕が持てるようになります。

川端康成は体育がまったくできませんでした。

ところが中学では上級生が順番に、下級生の前で体操の指揮をすることになっていました。

彼が模範演技をしていると、その体操がおかしいので下級生が必死に笑いをおさえていました。

それを見て康成は、「笑え、笑え」と一緒になって笑っていたというエピソードが残っています。

好きな文学で揺るぎない自己価値の実感を持っていたがゆえに、こうしたことが可能だったのでしょう。

5.自己価値を高めると、日々の生活を楽しめる

好きなことをしていれば、自己価値が高まり、「いま、ここ」を充実して生きることが人生の豊かさに直結するのですから、いまの生活に心おきなく没頭することができます。

自己価値を高めると、「現在の人生はかりそめのもの」だとか、「本当の自分とは何か違う」という違和感はありません。

自己価値が高まると、自分が自分の人生の主人公になったような感じです。

自己価値が高まると、今日とは違う自分になることを喜ぶのではなく、日々生活している自分を喜べるようになります。

自己価値が高まると、人間性心理学でいうように、becomingの喜び(何かになる喜び)ではなく、beingの喜び(存在していること自体の喜び)になるのです。

6.自己価値を高めると、行動が目的志向的になる

自己価値を高めると、好きなこと、得意なことをすることが生活の原則になると、目先のことではなく、長期的な視野に立った行動選択ができるようになります。

たとえば、好きな道を究めようとすれば、それにいたる技術を系統立てて習得するための計画をたてることになります。

これも自己価値の高まりに繋がります。

あるいは、アルバイトをするにしても、単にバイト代が高いというような基準ではなく、将来設計につながる技術を習得できるか否かでバイトを選ぶことにもなります。

昔、せっせと屋台を引いたり、焼き芋を売ったりするバイトをしていた人がいました。

他の人はみな、家庭教師のバイトを行っていたので、彼のバイトは割に合わないバイトだと思っていました。

ところが、彼はいまやいくつかの店を持ち、ビルさえも所有する実業家です。

彼には大学入学時点で、実業家という明確な人生設計があったのです。

この勉強と人脈をつくるために、せっせと屋台を引いていたのです。

自己価値の高まりと共に。