インナーチャイルドとインナーアダルト

機能不全家族で育ったアダルトチルドレンの多くは、一見すると立派なおとなとして社会に適応していても、実はおとなになりきれていない部分を抱えています。

ただしそれは、「子どもっぽい」という意味とはまったく違います。

むしろ人並み以上に社会的責任を背負いこんでいることも多いのです。

けれども、おとなとして自分自身の面倒をみて、自分を幸福にする責任を負うことができない・・・なぜでしょう。

アダルトチルドレンは、きちんと「子どもを生きる」ことができなかったのです。

愛され関心を注いでもらいながら、自分の感情をありのまま受け止め、自分に必要なことを周囲に要求する、という練習が、こども時代にできませんでした。

ごく小さい頃から手探り状態で、しっかりしたおとなのように振る舞わなければならなかったのです。

そのために、自分の感情、自分の望みを、引き出し深くしまいこんでしまいました。

ですから、自分というものがつかめません。

おとなになっても、手探りのまま必死に生きています。

自分はこれでいいのだろうか、こう感じるのは正しいのだろうか、自分の居場所はここにあるのだろうか、自分の価値を認めてもらえるのだろうかと、絶えず気にしながら・・・。

「インナーチャイルド」、つまり心の中にいる子どもの自分と出会うことは、生き生きした自由な自分と出会うことでもあります。

けれどその前に、本来の子どもの姿を覆い隠している、傷ついた子どもに向き合うことが必要です。

その次にくるのが、「インナーアダルト」を育てる作業です。

インナーアダルトとは、自分の中にあって自分を支えてくれる存在であり、大切な5つの力からなっています。

「もっとおとなにならなければ」と焦りながら、どうしていいのかわからなかった人が、「自分の中におとなの自分を育てる」というイメージをつかんだとたん、前に進み始めるのです。

子ども時代の痛みについて、あなたには何の責任もありません。

子どもは自分が育つ環境を選ぶことはできないし、その中であなたは精一杯やってきたのです。

けれど今、その痛みをどうするかは、あなたにかかっています。

痛みを癒やし、過去から抜け出すことを選択できるのです。

そして新しい人間関係を育てていくことができます。