アダルトチルドレンと制限つきでつながりを保つ

私たちはふつう、家族とつながっていたいと思うものです。

けれどどうしたら、ありのままの自分や自分が信じていることを曲げずに、家族という葛藤の舞台に再び入っていけるでしょう?

最初は自信がないでしょうし、試行錯誤の中でやり方を身につけていくことになるでしょう。

状況は人によって違うし、どんな課題が立ちはだかって居心地悪いことになっているのか、それぞれ自分で見分ける必要があります。

回復によって家族と遠く離れてしまったようで、寂しくて悲しいという声もよく聞きます。

家族との付き合いは表面的なものになるかもしれません―淡々と一緒に暮らすだけだったり、たまの旅行や里帰りを一緒にしたり、重要な儀式の場にだけ参加するといったような。

こうした場に出ることは、あなたが大切な人との関係を維持する方法のひとつです。

表面的なものだとしても、つながっていることには違いないのです。

あなたは多分、関係を完全に切ってしまうよりは、この程度の関係でも保つことを選ぶ(忘れないでください、選ぶのはあなたです)のではないでしょうか。

なぜ家族と関わろうとするのかを考えてみるとよいでしょう。

忠誠心、義務感、楽しいから、愛しているから?あるいは、今でも家族に自分を認めてほしい、評価してほしいと必死に願っているからでしょうか?

何歳であろうと、人は皆、親に自分の価値を認めてほしいのです。

子ども時代に親からの確認を得られなかったとしたら、その思いはよけいに強くなるはずです。

たとえ自分では打ち消していても。

けれど残念なことに、病んでいる親や不健康な親が、子どもに確認や評価を与えることはまずありません。

子ども時代と同じように、今でもたぶんそれは無理なのです。

むしろよくあるのは、いまや親の方が私達の評価を必死に求めているということです。

それでも、今も家族を愛しているという人は多いし、家族の中の誰かと楽しく過ごす時間を持つことができる人もいます。

アダルトチルドレンを抱えていたアニーは、家族の中で一人だけ回復を始めています。

アダルトチルドレンのアニーと母親とは、時々週末を一緒に過ごしています。

小旅行に出かけることもあるし、お互いの家を訪問して近所の噂話やテレビ番組の話をしたりします。

アダルトチルドレンの彼女はアルコール依存症の父親がなくなるまでの数年間、父親と近所の森を散歩するのを楽しみにしていたものです。

父親が酔っぱらっていない時間を慎重に選び、会話にも気をつけていました。

そうやって父親とのきずなを感じられる話題を見つけたのです。

木の葉、森の動物たち、そして樹木の話です。

アダルトチルドレンのアニーが二人の姉妹を訪ねるのは、親と会うほど頻繁ではありません。

お互いの違いが目に見えているからです。

何か話せば衝突しそうなため、話題は日常の必要事項だけに限っています。

アダルトチルドレンのアニーとしては、もっと親密で心から分かち合える関係を望んでいるのですが、家族に大きな変化が起こらない限り、それは実現しそうにありません。

アダルトチルドレンのアニーの場合は、得られないものを喪失として認め、その悲しみを味わいつつ、現実を受け入れ、どう行動するか自分で選んでいるのです。

日常生活の中で、もっと親密な関係を他の人たちとつくっているし、その多くはやがて健康なきずなへと発展していくでしょう。

アダルトチルドレンからの回復を続ける人達が、仲間を「自分で選んだ家族」と呼ぶことがよくあります。

母親や父親に対するニーズは、年上の友人や相談相手によって満たすことができます。

兄弟のような関係は、同世代の仲間たちとつくることができます。

自分の子どもに近い年齢の人と友情を育んでいるおとなも実際にいて、その人達は子どもに与えることができなかったものを若い友人に与えているのです。

こうした関係でかつての親子としての体験が帳消しになるわけではありませんが、親子の関係における喪失を認めさえすれば、そこから癒され、誰かと親密な関係を育てていくチャンスはあるということです。

同じ家に暮らして、困難な中を共に乗り越えてきたにもかかわらず、家族との間に感情的なつながりが感じられないという事はあり得ます。

お互いにきずなを感じないのなら近づこうとはしないでしょうが、片方だけがつながりたいと願っている場合、その人は相手から拒絶されたと感じ、混乱するでしょう。

逆に、相手のほうは負担に思い、もっとあっさりした関係でいたいのにと思うでしょう。

もしあなたがその立場なら、自分の責任において、相手に対してていねいに、これ以上の関係になるつもりがないと知らせることです。

こうした行き違いも喪失となりますが、あなたは悲しみをきちんと表現し乗り越えることができるはずです。