セルフトークで元気を出す

私たちには、日常生活の中で、「がんばるぞ」とか「よし、やるぞ」などと言って自分を奮い立たせることがあります。

これを意識的に行うのがセルフトーク法です。

気持ちが落ち込みやすい人は、ちょっとしたトラブルのときでも、「大変だ」「嫌だな~」「もうだめだ」「最悪だ」などと無意識のうちに自滅的なセルフトークをしています。

このために感情がいっそう混乱してしまうのです。

セルフトーク法では、こうした自滅的なセルフトークを適切なセルフトークに置き換えることで、意識や感情、行動を肯定的な方向へと変えるものです。

「嫌だな」と言うことが口癖なら、「快適、快適」。

「運が悪いな」と思うことが多いなら「ラッキー、ラッキー」。

「不幸だ」と思うなら、「幸せ、幸せ」。

「無理だ」「もうだめだ」と思ったら、「やってみなければわからない」「やってみてから結論を出そう」「絶対的手段があるはずだ」などと言う努力をします。

「・・・してくれない」とか「自分だけが・・・」といった考えや言葉が多い人は、「他の人は他の人、自分は自分」「自分がしなければ何も変わらない」などの言葉を言うようにします。

自信のなさがマイナスの感情を生んでいると感じる人は、自信を与えるステートメントを多用するようにします。

「自分を信じよう(これこそほんとうの「自信」の意味です)」「大丈夫、自分にはできる」など。

仕事がスムースにいけば「よし、この調子、この調子!」。

仕事が終わったら、「疲れた」「ちょっと失敗した」ではなく、「やった、大満足」と言うようにします。

雨の日や、寒い日でも、「快適、快適」と唱えます。

そうすると、なんだかそんな気持ちになってきて、口元がゆるんできます。

「なんとかなるさ」「気楽にいこう」

そう、世の中はなんとかなるものです。

ほどほどに真面目にやっていれば、人生は楽しくやっていけるものなのです。

人間関係の場面で、本サイトで述べられた心構えをセルフトークすることが有効です。

それらを含めて、場面ごとのセルフトークの例をあげておきます。

これから人に会うとか、人前でなにかしなければならないとき

「あるがままでいよう」
「緊張するのは当たり前。緊張とつきあっていこう」
「自己防衛しない」
「本来の課題にだけ集中しよう」
「役割に徹しよう」
「人の心はあたたかい」
「逃げないでぶつかろう」
「大丈夫、自分を信じよう」
「今、しなければならないことだけ考えよう」
「深呼吸し、リラックスしよう。大丈夫うまくいく」

感情が混乱しているとき

「落ち着いて対処しよう」
「リラックス、リラックス」
「今、しなければならないことに全力を尽くそう」
「感情バイアスでつらいのだ。大丈夫、必ず抜け出せる」
「これも試練。大丈夫、耐えられる」
「明けない夜はない。止まない雨はない」

ところで、自分の感情を否定するために、かえって感情が増幅されていることがあります。

そんなときは、ネガティブな感情を認め、受け入れてしまうと、楽になることがあります。

たとえば、「舞台に立つのが怖い」とき、「私は舞台に立つのを怖がっている」と、声に出して何回も唱えるのです。

このとき、「怖い、怖い」と言うのではありません。

これでは怖さが倍増すること請け合いです。

そうではなく、セルフトークによって自分を対象化するのです。

対象化によって、感情に溺れている自分を救い出すのです。

2009年のWBC決勝であの決勝打となるタイムリーヒットを打ったとき、イチロー選手は、打席に立つまで自分がヒットを打つ姿を頭の中で実況中継していた、と語っています。

自分を対象化することで冷静になろうとするメカニズムが、本能的に働いたのだと推測されます。

人間関係で傷ついたとき

「もう済んだこと」
「過去のこと、大事なのは今と未来」
「どう思われようと、痛くもかゆくもない」
「陰口なんか、へっちゃら」
「人は人、自分は自分」

とくに自分が傷つきやすいことを自覚している人なら、「傷つきさんがまた来たな。どうぞ、どうぞ」と自分を対象化してみる言葉も効果があります。

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●まとめ

肯定的なセルフトークをしよう