傷つける人との付き合い方

傷つける人とは

少数ではありますが、誠意をもって接しても、誠意が通じない人がいます。

鈍感さから、他の人を傷つける人もいます。

傷つける快感を楽しむかのような人もいます。

こうした人とは、関係を絶つことが一番です。

しかし、職場が同じであるとか、親戚であるなど、どうしても関係を継続せざるをえないことが少なくありません。

ここでは、そうした人への対処の仕方を紹介します。

不許容領域を明確にする

その人が職場の人であれば、仕事以外でのつきあいはしないことをはっきりと宣言することです。

その人から私的なことで声をかけられたら、「仕事以外でのつきあいは遠慮させていただきます」と、はっきりと伝えます。

また、「携帯はプライベート用なので、連絡は会社でお願いします」など、会社外での交渉を拒絶します。

義理と人情がからむ関係では、とくに防御ラインを徹底する必要があります。

そのために、最低限すべきことはきちんとするようにして、後は「不義理と言われても構わない」と割り切ることです。

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実務的態度で対応する

個人的感情の交流に入らず、仕事上の役割関係としてのみ接するようにします。

「役割行動に徹する」ことです。

心理的距離を置くためには、丁寧語や敬語で対応するようにすることも有効です。

こうすると、暗黙のうちに「親密な関係はお断りです」というメッセージになるからです。

また、丁寧語や敬語なら相手の人をたてているという形になるので、非難するすきを与えないというメリットもあります。

証人を確保する

他の人の目があるところでは、悪意を表現しにくいものです。

このために、できるだけ他の人がいるところで接するようにします。

指示をくるくると変えて混乱させるような人に対しては、指示されたことを紙に書いて、誰もが見えるように貼っておくことで、証人になってもらうようにします。

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質問で返す

相手の言葉に怒りを感じたとき、怒りをぶつけるのではなく、質問することで相手を引き下がらせる方法があります。

たとえば、「今日は化粧失敗した?」などと、無神経なことを言われたとき、「えっ?なんて言ったの?」と聞き返すのです。

おそらく、相手の人は答えないでしょうから、さらに「聞こえなかった。もう一度言って?」と、相手に繰り返すように求めます。

説明を求める質問が、有効な場合もあります。

たとえば、「なに、この仕事は!やる気ないんじゃないの」と言われたら、「この仕事のどこから『やる気がない』と思われたのですか?」と、冷静に質問するのです。

相手がなにか答えたら、「それだと、なぜ、やる気がないという結論になるのですか?」と、さらに質問します。

このように質問を続けていくと、必ず相手の論理に非があることが明らかになります。

なぜなら、これは質問を重ねることで相手の無知に気付かせるソクラテスの問答法のようなものだからです。

これによって関係がいっそう険悪になることが心配かもしれません。

そうであれば、相手の説明のなかで同意できる部分を見つけて、「その部分については、気をつけようと思います」と、限定的に同意することです。

コツは反論しないことです。

反論すると、反論した内容に責任を持たねばならなくなります。

論点がそちらに移ってしまいます。

ですから、ただただ質問を重ねることです。

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相手の土俵に乗らない

傷つける人とは、同じ土俵で戦おうとしない方が賢明です。

相手のレベルにまで自分を落とさないで、あくまでも平常心で、自分の気高いレベルを保つことです。

反撃すれば、相手に新たな攻撃材料を与えるだけです。

非難されたら、「なるほど、それがあなたの考えなのですね」と、言っておしまいにします。

怒りなどの感情を伴いながら攻撃してきたら、「あなたはそう感じているのですね」と言って、内容には触れないようにします。

しつこく言ってきても、同じ言葉を繰り返すようにします。

それでも攻撃が続けば、「後で考えてみます」と受けて、その場を去るようにします。

ショック的対処法

あなたの人の良さにつけ込んでくる相手や、みんなが嫌がっているのに気付かない相手には、思いもかけない行動でショックを与えることで、相手の行動を止めさせることができます。

中学のとき、Nさんは小柄でおとなしかったためでしょうか、Nさんをいじめの標的にする級友がいました。

ある時、階段の踊り場で暴力をふるってきたので、階段から突き落とさんばかりの気迫でぶつかっていきました。

それ以来、彼はNさんを恐れ、避けるようになりました。

タイミングと状況を考慮して、ときには相手をノックアウトするほどの反撃をしてみるのも有効です。

とりわけ、いつもにこやかで穏やかな人の豹変ほど効果的です。

少額投資法

お金を貸してあげると、しばらくの間、足が遠のく人がいます。

これと同じで、貸しを作ることで、相手の行動を封じ込める方法です。

相手が求めたことをしてあげて、逆に相手にいろいろと頼むようにするのです。

「この前、あなたの仕事頼まれてあげたじゃない。今度は頼まれてよ」と、ことあるごとに繰り返します。

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恐れと罪悪感を乗り越える

傷つける人への対処法を実行するためには、自分の中の恐怖心と罪悪感を乗り越えなければなりません。

みんなに好かれていないと不安である人や、人から拒絶されることが怖い人は、自分を傷つける人にさえ、好意を期待してしまいます。

そのために、傷つける人に対して断固とした行動がとれません。

傷つける人と対決して、それで関係が絶たれても、あるいは、いっそう関係が悪化しても大丈夫です。

それ以外の圧倒的多数の仲間がいるのですから。

こうした恐怖を抱くのは、自分の力で生きていけるという確信がないためです。

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見捨てられたら生きていけないかのように思い込んでいるのです。

そんなことはありません。

立派に自分の力で生きているではありませんか。

客観的に自分を見て下さい。

あなたを傷つける人に依存してあなたが生きている、などということは絶対にないはずです。

あなたが快適に生きるのに、傷つける人を含めたすべての人に好かれる必要などないのです。

恐れのために対決する心が揺らぎそうなときは、「すべての人に好かれる必要などない」と、心の中で繰り返すことです。

きっと力を与えてくれます。

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誰にでも誠実に接しようとするあなたが、傷つける人へ毅然とした対処行動をしようとすると、自分の罪悪感と戦わなければならないかもしれません。

傷つける人のなかには、あなたの罪悪感を刺激するのが巧みな人がいるものです。

「仕上げないで帰るなんて、無責任です」

「よくそんなことができますね。心が痛まない?」

「あなたのせいで、私はいつもやる気がなくなるんです」

仕事の不出来を非難されるよりも、良心や責任感の問題だと非難される方が、私たちは深く傷つきます。

なぜなら、自分の存在価値そのものへの非難として受け止めなければならないからです。

罪悪感をどの程度感じるのが適切なのかを判断する客観的な基準など存在しません。

このために、良心的な人ほど、大きな罪悪感を持たされてしまい、傷つける人の犠牲になりやすいのです。

傷つける人への対処においては「不必要な罪悪感は持たない」と、決意することです。

人間関係において、とりわけ傷つける人への対処において、最も基本になるのは自分を大切にするという姿勢です。

自分にとっての快適さこそ、大事にすることです。

自分の心の快適さこそ、自分の判断基準にすべきです。

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●まとめ

傷つける人に対処するとき、「みんなに好かれる必要はない」「不必要な罪悪感は持たない」と、決意しよう。