内向型人間の魅力

愛情は必要不可欠だが、社交性はそうとはかぎらない。

もっとも身近にいる大切な人々を慈しもう。

あなたが好意を持ち、尊敬する人々と働こう。

誰かと新しく出会ったら、相手がそういう人かどうか、一緒にいて楽しい人かどうかを見極めよう。

そして、そうでないとわかったら表面的なつきあいにあれこれ気を配る必要はない。

人付き合いは内向型も含めてみんなを幸福にするけれど、内向型は量よりも質を大切にする。

人生の秘訣は、適正な明かりのなかに自分を置くことだ。

ハリウッドのスポットライトがふさわしい人もいれば、机に置いたスタンドがふさわしい人もいる。

持続力、集中力、洞察力、繊細さといった、自分に自然に備わっている力を発揮して、愛着を感じられ自分が大切だと思う仕事をしよう。

問題を解き、芸術作品を創作し、深く考えよう。

世の中にどのように貢献したいかを考え、それを実践しよう。

そのために、人前で話したり人脈を築いたりなど苦手なことをする必要があれば、なにはともあれやってみよう。

ただし、それが自分にとって難しいことだと認めて、事前に十分な準備を積み、成し遂げたら自分自身に報いてやるのだ。

テレビのニュースキャスターはやめて、図書館学の学位を取得しよう。

でも、もしニュースキャスターが自分の天職だと思うのなら、外向型のペルソナをつくってしのげばいい。

人脈づくりの最重要ルールは、たったひとつの本当にすばらしい関係をあらたに得ることは名刺の束よりもはるかに重要だ、というものだ。

用事が済んだらさっさと家へ帰って、ソファでのんびりしよう。

回復のための場所をしっかり確保しておこう。

愛するパートナーが社交の楽しみを必要としていることを尊重し、あなた自身がひとりの時間を求めていることも尊重しよう(あなたが外向型ならば、これは逆になる)。

自由な時間は、自分がどうあるべきかではなく、自分がなにをしたいかにもとづいて過ごそう。

大晦日の晩を静かに自宅で過ごすのが幸せだと感じるのならば、そうすればいい。

委員会の集まりをサボろう。

道で知っている人に会うたびによけいな世間話で時間をつぶされるのを避けよう。

読書しよう。

料理しよう。

走ろう。

物語を書こう。

自分で決めた回数だけ社交の場に出たら、あとは言い訳に罪の意識を感じないで断る勇気を持とう。

もし、わが子が物静かなタイプならば、初対面の相手やはじめて訪れる場所に慣れるのを手伝ってやって、あとは自由にさせよう。

彼らが独創性を備えていることを喜ぼう。

しっかりした道徳心を持ち、ゆるぎない友情を築く心を持っていることを誇りに思おう。

彼らが人の道にはずれた行動をするのではないかと心配する必要はない。

それよりも彼らが自らの情熱を追求する道を歩むのを応援しよう。

ドラムの実力が認められたとか、ソフトボールで活躍したとか、すばらしい作文を書いたとか、なんであれ情熱が実を結んだと知らされたら、紙吹雪で祝ってやろう。

もし、あなたが教師なら、社交的で積極的に発言する生徒の存在を楽しもう。

だが、内気で繊細で孤独を愛する生徒たちの能力を育てることも忘れずに。

彼らはたとえば化学式やオウムの分類や19世紀の美術に並外れた関心を抱いている。

彼らは将来の芸術家やエンジニアや思想家なのだ。

もし、あなたが部下を束ねる管理者ならば、部下たちの三分の一から二分の一は、たとえ外面がどう見えようと内向型なのだということを忘れずにいよう。

オフィスのレイアウトを考え直してみよう。

内向型はオープンオフィスを歓迎しないし、ランチタイムの誕生会やチームワークのための懇親会も苦手だろう。

内向型が持つパワーを最大限に活用しよう。

彼らは深く考え、戦略を練り、複雑な問題を解くうえで大きな助力となり、炭鉱でガス漏れを真っ先に知らせるカナリアのような役目も果たせるのだ。

さらに、「新集団思考」が持つ危険を忘れずに。

もし、創造性を求めるのなら、まずはひとりで問題を解決してから全員でアイデアを分かち合うよう従業員たちに指示しよう。

多くの人々の知恵が欲しければ、電子機器を使うなり、紙に書くなりして集め、途中の過程で各人が他人のアイデアを読んだり評価したりしないよう注意しよう。

信頼を築くために実際に会って話すことは大切だが、集団内の力関係がクリエイティブな思考を阻害することがあるのは避けられない。

そこで、一対一あるいは少人数でやりとりする機会を設定しよう。

積極性や雄弁さにすぐれているからといって、すぐれたアイデアの持ち主だとはかぎらない。

戦力である部下たちがイニシアチブをとるタイプならば、彼らは外向型のリーダーやカリスマ的なリーダーよりも内向型のリーダーの下で、よりよいパフォーマンスをすることを思い出そう。

あなたが教師だろうと管理者だろうと、外見は真実ではない、と心に刻んでおこう。

内向型が無理に外向型のようにふるまうと、エネルギーや能力を消耗し、健康を損ねる場合さえある。

また、たとえ超然としてうちとけない雰囲気を漂わせていても、彼らの内心は豊かで起伏に満ちている。

だが、落ち着いた表情で静かに話す人と出会ったら、その人は心の中で方程式を解いているか、ソネットを創作しているか、帽子をデザインしているのかもしれないのだと考えてみよう。

すなわち、その人は静かなるパワーを操っているのかもしれないのだ。

神話やおとぎ話からもわかるように、世の中には多種多様なパワーがある。

ライトセーバーを与えられる子どももいれば、魔法学校で魔法を習う子どももいるのだ。

手に入るパワーをすべて集めようとするのではなく、自分に与えられたものをうまく使うのが、万能の秘訣だ。

内向型は、豊かさに満ちた秘密の花園の鍵を与えられることが多い。

その鍵を本当にわがものにするには、アリスのようにウサギの穴のなかへ転げ落ちなければならない。

アリスは自ら選択して不思議の国へ行ったのではない。

だが、新鮮ですばらしい冒険の旅は、彼女独自のものだった。

ちなみに、ルイス・キャロルも内向型だった。

キャロルなくしては『不思議の国のアリス』は存在しなかった。

内向型のパワーを考えれば、それは驚くにはあたらない。