心がすりへってしまう心理

「心がすりへる」とはどういうことでしょうか。

毎日を楽しく生き生きと過ごしている人。

毎日をつらそうに心をすりへらしながら過ごしている人。

同じ状況だとしても、同じ状況だとしても、同じ職場にいたとしても、違いがあるのはどうしてでしょう。

ここでは、なぜ心がすりへっていくのか、について記していきたいと思います。

やりたいことやすきなことがわからない

人付き合いで悩んでいる人の中では、「自分のやりたいことがよくわからない」という人があまりに多いです。

「休日にやりたいことをやろうと思っても、何をしていいか分からない」
「好きなようにやれ、と言われても、困る」
「今の仕事が好きかどうかわからない」
「好きなものを食べたらいいのに、と言われても、どうしても食べたいというものがない」

このように、「やりたいこと」がわからない人が多いのです。

「やりたいことを我慢して、一生懸命働いていた」んじゃなくて「本当にやりたいことがないことに気付きたくなくて、目の前の仕事に一生懸命とり組んでいた」というべきなのかもしれません。

もしかしたら、それは、いつのころからか「やりたいこと」を親や周囲、学校などから抑圧され、「やらなきゃいけない」「やるべき」を教育され続けて、いつの間にかあきらめてしまった結果かもしれません。

自分の「やりたいこと」や「好きなこと」を我慢しているうちに、自分の気持ちや欲望を抑えつけるのがクセになってしまったのです。

やがて、自分の心を抑えつけるのがクセになったことも忘れて、「やらなきゃ」「やるべき」に一生懸命になっているのです。

「心をすりへらしてしまう人」というのは、「やりたいこと」より「やらなきゃいけないこと」を優先してしまう人といったほうがいいかもしれません。

がんばり屋さんだから、「やらなきゃいけないこと」でも一生懸命がんばってしまいます。

また、「心をすりへらしてしまう人」は、自分の「やりたい」より、他人やまわりの「やりたい」や「やるべき」を優先させる人だったりもします。

まわりや他人を優先させた結果、自分をすりへらしてしまうんです。

気付いたら、疲れ果ててしまった。

いつの間にやら、立ち上がれない。

こんな状態になる前に、「すりへらない心」をつくる習慣を手に入れて、もっと楽に自分らしい働き方を見つけてほしいと思っています。

やりたいことを諦めてしまった自分と向き合う

今の仕事が苦しいときに「天職」という言葉は、魅力的に響きます。

「天職」に就けると、さぞかし幸せなんだろうと思うことでしょう。

だって好きなこと、やりたいことを仕事にしているのですから。

でも実は、天職を「探している」人は、一生天職には出会えません。

これは、意地悪な話でもなんでもなくて、人は「勝手にあきらめる」からです。

「無理そうだ」と思ったら「そもそもやりたくないんだ」「むしろ嫌い」というように、自分の「好き」「やりたい」という気持ちを曲げて、はじめから好きではなかったかのように勝手にあきらめるのです。

たとえば、「お肉が好きで、すごく食べたい」人がいるとします。

でも、「本当は『お肉』が食べたいのに、お肉は高くて手が出ない。

じゃあ・・・中華・和食・イタリアン・インド料理かな・・・」と「本当は好きではない選択肢」の中から選ぼうとする。

そんな人に、今さら「お肉がいいんでしょ」と言っても「全然興味ないです」と言います。

「お肉なんか食べても意味ない」と言います。

時には「あんなの西洋人が食べてればいいのよ」なんてことまで言い出します。

これが「天職を探している状態」です。

本当に好きでないものの中から探そうとするからテンションが上がらないし、やりたくないことを続けるしかない。

本当に好きなものは探さなくていいんです。

好きだから、いつも考えてる。

いつも気にしてる。

さっきの「お肉を食べたいけどあきらめた」という人も、街に出てはお肉の看板が気になる。

ずっとずっと気にしている。

でも、あきらめてる。

こういう人が「天職」を見つけるためには「ちゃんと自分と向かい合うこと」「できそうもないとあきらめた自分をちゃんと見つめること」が必要なのです。

そして、「本当にやりたいこと」は、すでに無理だと思っていること、諦めたことの中にあったりするんです。

そこを探してみてはどうでしょう。

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常識や正しいに振り回されない

前日、飲み過ぎた日なんかは、なかなか起きられません。

「でも、起きなきゃなぁ」なんて思っている朝に、僕はふと思いました。

「朝、眠いのに、無理やり起きてくるのは人間だけだなぁ」って。

猫も、犬も、鳥も、馬や牛も・・・みんな起きたいときに起きてます。

もちろん目覚まし時計なんて、かけてません。

でも、人間は、起きたくなくても、起きないといけません。

しかも、朝ご飯まで強制されたりします。

「今日はごはん食べたくない」と言っても「ダメよ、しっかり食べないと」なんて言われながら。

おなかが空いてなくても、時間になるとごはんを食べるのも人間だけです。

他の生き物は「おなかが空いたらごはんを食べる」のに。

そんな習慣を続けていくうちに「朝ごはんは食べなければ」「朝ごはんを食べるほうが正しい」などと思いはじめます。

他のことも同様です。

「こんなふうに生きるべきだ」「こんなふうにしないと生きていけない」「こんなふうに生きるのが正しい」・・・朝ごはんや、起床時間にかぎらず、さまざまなことで、こう思いはじめます。

ある会社員は朝早く起きて会社に「定時」に行っていました。

で、早くに会社に着いて、コーヒー飲んだり、メール眺めたり、雑談したり・・・って仕事してないですよね。

でも、定時を過ぎると「遅刻」なんて言われて、ペナルティがあったり・・・。

「つらくても我慢して仕事しなきゃ、食っていけなくなるよ」「ちゃんと生活しなきゃ社会生活になじめなくなるよ」なんて言われて。

人間以外の動物は、そんなこと考えなくてもちゃんと幸せに生きています。

したいことだけして、食っていけてる。

やりたくないことは、やってない。

食べたいときに食べてる。

「人間はそれじゃダメなんだ?」って疑問に思います。

「食っていけないんだ?我慢しないといけないんだ?努力しないといけないんだ?」って。

まとめ

  • 心がすりへりやすい人は、自分の「好きなこと」や「やりたいこと」がよく分からない人。自分より他人を優先しすぎてしまう人。
  • 心がすりへりやすい人は、「やりたいこと」や「本当はすきなこと」に気づいて、どんどんやっていくことが大事。
  • 「やりたいこと」が今は見つからなくても、過去の経験や今の気持ち、現状から、あきらめたものの中から探してみる。
  • 「~べき」「正しい」という意見や常識に振り回されすぎない。自分の気持ちを大事にする。