最悪の事態に浸ってみる

「最悪の事態」を覚悟する

今後の展開が心配なとき。

たとえば、自分の仕事のことで顧客からクレームが来た。

月曜日には、会社でそれが問題になるはずだ。

それを考えると、心配で心配で眠れず、胃が痛くなる。

こうしたときは、仮想的フラッディング法といって、頭の中で心配な事態を体験し尽してしまうのです。

フラッディングとは洪水のことで、恐れている場面に直面することで洪水のようにつらい感情が湧き起こってきますが、それを乗り越えることで、平気になるという心理療法です。

仮想的フラッディング法とは、これを頭の中でイメージすることで代用するものです。

最悪の事態を覚悟して腹を決めた、そうしたら気持ちが楽になった、という体験をお持ちの方も少なくないと思います。

仮想的フラッディング法では、制限時間をきめて、思い切りストレス状態に浸ります。

それによって、他の時間にそのことがフラッシュバックするのを防ぐのです。

1.最初に5分とか10分など、仮想的フラッディングをする時間を決めます。
タイマーをセットすると、気持ちも切り替えやすいと思います。

2.恐れている最悪の場面を思い浮かべます。

すると、恐れや不安、嫌な気持ちが湧いてきますが、それらを抑えることなく、その悪感情に思い切り浸るようにします。

私たちの心は根拠のない脅威を恐れるのに、いざ、そうした最悪の状況を意識しようとすると、それを回避しようとする作用が働いてしまいます。

ですから、その抵抗を打破する必要があります。

恐れずに最悪をイメージして、ひどい感情を体験するようにします。

嫌な事態を思い浮かべていると、他の事を思ったり、制限時間が来る前に、「もう、いいや」と思うことがしばしばあります。

これもまた、回避作用です。

決めた時間内は、とにかくストレス場面を思い浮かべることに専念します。

3「起きたことはしかたがない。何があろうと、これを自分の責任として引き受けよう」と、このつらい感情と出来事を引き受ける覚悟をします。

この悪感情にどっぷりと浸っていると、あれこれと想像して恐れているよりは実際にはたいしたことはない、としだいに感じられるようになります。

あるいは、湧いてくる恐れに対して「それがどうした」とか、「なんとかなるさ」と、ある程度の居直りができるようにもなります。

居直った心ほど強いものはありません。

居直れば、冷静に合理的な対処法を考えることができるようになります。

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時には負け犬気分に浸ってみる

会社に行くのがつらい。

でも、「行かなければ負け」と思ってがんばって行っている。

といって、職場でも無愛想になっていて、仕事ははかどらない。

すべてが中途半端。

こんなときは、「風邪をひいた」とでも口実をつけて、会社を休んで、思い切り負け犬気分に浸ってみます。

一日中うつうつとベットの中で過ごしてみるのです。

二日もそうしていると、エネルギーがたまってきて、むしろ動きたくなります。

ある人は大学時代、よくこのようなことがありました。

一週間ぶっつづけに寝込んだりしました。

勤めてからも、仕事のある時だけ起き出して、あとはごろごろすることで気持ちが上向くのを待った、という体験が何度かありました。

「そんなにがんばらなくてもいいじゃないか」
「適度にやればいいんだ」
「自分のできる範囲でがんばればいいんだ」

そんなふうに居直れる気持ちになります。

普段がんばっている自分を誉めたくもなります。

そうすることで、再び外界に立ち向かっていく元気が湧いてきます。

●まとめ

最悪の事態を覚悟すれば怖いものは何もない。