劣等感と優越感の外化

●自己蔑視の外化

”「あいつはバカだ」の意味は「私は偉大だ」”

自己蔑視の外化にも積極的な外化と受け身の外化の二通りある。

自己蔑視が積極的な形で外化されると、どうなるか。

それは相手を軽蔑することになる。

心の中では自分が自分をバカだと思っているが、「あいつはバカだ」と相手を蔑視する。

「自己蔑視は偉大になりやすい。それは外化される」とカレン・ホルナイは述べているがその通りである。

「あいつはバカだ」と人々を蔑視することは、「私は偉大だ」と叫んでいるのである。

つまり優越感である。

優越感はアドラーが指摘するように劣等感からの逃避である。

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優越感とは何か?

それは「劣等感を持った人が、困難から逃げるための武器として使うものである。」
正常な人は優越感を持たない。

この優越感が心理的病の根であるとアドラーは言う。

優越感を持った子供は絶えずじぶんが実際以上に見えることを望む。

そして短期で、忍耐強くない。

それは、目的を達成するほど十分強くないと自分が思っているからである。

ようするに優越感を持った人は社会と上手く調和できないとアドラーは言うが、その通りである。

自己蔑視をこのように積極的な形で外化している限り、気持ちの安定はない。

優越感を持った人を考えれば、これは明らかであろう。

人間関係をはじめいろいろなことが上手くいかず、いつもイライラしている人は、一度外化という心理過程が自分に起きていないかと反省してみることである。

自分が蔑視している人の名前がたとえば中村というなら、「私は本当に中村君を軽蔑しているのだろうか?」と一度本気で反省してみることである。

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世の中の人を「バカばかり」と言っている人は、本当に自分は世の中の人をバカと思っているかどうか、一度反省してみることである。 

もしかすると自分が自分をバカと思っていることに気が付くかもしれない。

心の底で実は「オレはくだらない男だ」と思っているかもしれない。

「オレはくだらない男だ」という自分の感じ方に直面できないで、世の中の人々を「バカばかり」と言う優越感に逃げているのではないか。

世の中には、人は劣等感から自殺すると考えている人も多いようであるが、人は劣等感からは自殺しない。

人は優越感から自殺する。

自己蔑視を積極的に外化するということは、劣等感から優越感に逃げているということである。

対人恐怖症、社交不安障害を克服するには、いつもイライラしている人は、一度外化という心理過程が自分に起きていないかと反省してみることが一歩である。