相手が感謝しないと傷ついてしまう心理

愛の伝え方が分からない

報われない努力の典型的な例である。

巨大なケーキをおみやげに持っていく。
不釣り合い。
すごいと言われるために買ってきた。

「元気?」と聞かれる。
「元気です」と答える。

しかし「元気です」と言う人にもいろいろな人がいる。
「元気です」と答える人の心は、それぞれ違う。

「病気です」と言うと、相手が心配するから「元気です」と答える人がいる。

このように愛で「元気です」と言う人と、相手への恐怖感から言う人がいる。

元気にしていないと、「嫌だな、そんな暗い顔をして」と不機嫌になる父親もいる。

うつ病になるような人は、愛で人と話をしたことがない。
愛想がよいけど、心はいつも恐怖で話をしていた。

だから「人のために」ということが基本的に理解できない。

頭で理解しても感情的に理解できない。

ある統合失調症の女性が熱湯に手を突っ込んで、「ほら、私はこんなにあなたを愛している」と言ったという話を読んだことがある。

この女性は愛を伝えたいが、愛の伝え方が分からないのである。

うつ病になるような人は、こうした自己執着的愛の表現をする。

自分が必死になって愛を伝えているのに、期待した反応が返ってこないときには、報われない努力はエスカレートする。
最後は熱湯に手を入れているのと同じようなことをするのである。

自分が好きな酒をやめている。
そして「こんなに愛している」と訴える。
それは熱湯に手を入れるのと同じことである。

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感謝されないと傷つくのは、自分が拒絶されたと感じるから

世の中には、自己執着的対人配慮から生じるトラブルは多い。

自己執着的対人配慮とは、たとえばプレゼントをするのに、自分はこんなに持っているということを示すために高価なプレゼントをする。

相手が求めているものではなく、自分が持っているものの誇示するためのプレゼントである。
自分が一億円あると恋人に示したい。

自分が、料理が上手だということを示すために糖尿病の患者に豪華な食事を作るようなもの。

相手の健康よりも、私が料理がうまいと思ってもらいたいということが先に立つ。

定年離婚がよく話題になる。

離婚を言われた夫のほうは、全くの驚き。

夫は家族のために尽くしていると思っていた。
しかしそれは自己執着的対人配慮であった。

同じ屋根の下に全く違った価値観で一緒に生きていた。

夫はエリートコースを突っ走って感謝されていると思っていた。

しかし相手は全く違った望みを持っていた。
エリートへの憧れはなかった。

自己執着的対人配慮で失敗したときには、「私はナルシシストである」ということを自覚することである。

自己執着的他人配慮からくる恨みは「あなたはナルシシストである」というメッセージである。

人にほめてもらおうとして親切をする。

感謝されたい、いい人という評判が欲しいからする親切をする。

しかし期待した感謝は返ってこない。
すると「こんなにしてあげたのに」と恨みをもつ。

自己執着的対人配慮で配慮したときに、相手が感謝しないと、自分は拒絶されていると思って傷つく。

相手への愛情から配慮したときには、相手が感謝しなくても傷つかない。

また自己執着の強い人は傷つきやすい。

自己蔑視している人も傷つきやすい。

自己蔑視している人は無防備である。

無防備なのは自己執着が強いからである。

自己執着的対人配慮は相手への理解はない。

つまりうつ病になるような人は相手への理解がない。

相手への関心がないから、努力をしても報われない努力になってしまう。

だからうつ病の病前性格である執着性格は義務責任感が強くて、仕事熱心でも、うつ病になっていく。