自分を受け入れる

自分の性格で悩むことは、苦しくとも、素晴らしいことです。

なぜなら、それはあなたが細やかな情感の持ち主であり、誠実であろうとしている証拠だからです。

感受性に欠ける人、誠実でない人、性格の悪い人は、自分の性格で悩むことはありません。

まして、自分の性格を直したいなどとは思いません。

通常、人は実際よりも良い方向にずれた姿で自分を見ています。

たとえば、大部分の社員は自分の能力が平均以上だと思っているし、上司は、部下の実際の評価よりもはるかに上司として尊敬されている、と思い込んでいます。

老人の多くは、実年齢よりも自分が若く見えると思っています。

これに対して、自分の性格で悩む人は、実際よりもマイナス方向にずれて自分を見てしまっているのです。

ですから、本人が悩んでいる点は、他の人から見ればむしろ美徳であることが少なくないのです。

たとえば、内向的な人は、周囲からは「控えめで芯のしっかりした人」と評価され、責任感で苦しむ人は「信頼できる人」と評価されています。

罪悪感の強い人は「とても良心的な人」とみられています。

自分についての認識において正確さが求められている、ということはありません。

そもそも正確かどうかを判定する基準など存在しません。

正確さなどありえないのです。

プラスの方向で自分を見た方が快適なのですから、プラスの方向で自分をとらえることです。

苦しみとなることでも、じつは自分の長所なのだととらえることです。

自分の非社交的な性格のために苦しくても、それを自分の個性として受け入れることです。

そのままを受け入れることによって、自分の性格を変えようとする関心とエネルギーを、自分の人生をつくることへと集中してください。

人付き合いが苦手な人は、以下のような長所をもっているのです。

細やかな感受性

人間関係において人一倍気をつかっているので、人の内面についての感受性が磨かれています。

また、場面に没入しないで一歩退いて見ていることがあるので、観察眼が優れていることがあります。

このために、人の細やかな心の動きに敏感で、人の心に共感し、人に優しくできる素養があります。

他の人に尽くすことを喜べる

人付き合いが苦手な人は控えめで遠慮がちです。

パーティでも、招かれた客として会話に加わっているよりも、なにか手伝いをする方が好きという人が少なくありません。

このために、表に立って注目を浴びることなく、陰で尽くすことで満足できます。

献身することを喜ぶことができます。

仕事が丁寧

人付き合いが苦手な人は、常に先々のことを考えて仕事ができます。

そのために、おっつけ仕事でなく、丁寧な仕事をします。

また、責任感が強いので、安心して仕事をまかせられます。

成長への強い意欲

人付き合いの苦手な人は、「こうありたい」「こうでなければならない」と自分に対する強い要求を持っています。

この度が過ぎて、完璧主義として苦しめられることが多いのですが、この意欲は本質的には成長への意欲なのです。

独立して仕事ができる

人付き合いが苦手な人は、しばしば一人で仕事をするのが好きで、一人で耐えるがまん強さがあります。

これは、組織や集団に依存しないでも仕事ができる貴重な能力です。

組織に勤める人の中で多くの人が独立を夢みていますが、そうした人の大部分は、その夢とは裏腹な人生を生きてしまいます。

しかし、一人で仕事ができるという特質を生かせば、そうした夢を実現することが可能になります。

私の周囲にも、会社を辞めて好きな金工の道に進んだ人、農業へと転身した人、陶芸を選んだ人などがいます。

いずれも一人でも仕事が出来る能力を持った人たちです。

Nさんは定年を八年ほど残して早期退職し、自分の好きな仕事だけをするという生活を作ってきました。

現在では、居ながらにしてインターネットによって世界中の人とつながることができるようになり、仕事の可能性は限りなく広がっています。

遠隔地の人と共同して仕事ができますし、田舎に住みながら最先端の情報を得て仕事をすることができます。

こうした現代の恩恵を享受するにも、一人で仕事ができるということは大きな武器になります。